第72話

「司令官、ノーザイアが会談を申し込んできておりますが、いかがいたしますか?」


自室(司令官室)でナターシャから報告を受けた俺

その場には麻奈、ひばり、奈美、魔王もいたが、みな緊張の面持ちだ。


「来たか…

で、日時は?

場所はロストエデンか?まさかノーザイアに来いとか言ってるわけではないだろ?」



「それが…」

急に言い澱むナターシャ


「なんだ?そのまさかなのか?」


「いいえ。

1週間後で会談場所は『ムガ』を指定してきております。人数はどちらも4名。

ノーザイア側は『国王』『宰相』『重鎮2名』が出席するとのことです」



「『ムガ』か…

どうせ、中立な場所とかなんとかいう理由だろ。

それにしてもトップが出てくるとはな」



「はい、その通りです。

それから、ロストエデン側の4名の内2名は『司令官』と『神宮ひばり』を指定してきております」



麻奈がものすごい勢いで割って入る。


「ご主人様!これは罠です!絶対断るべきです!!」



それに呼応して奈美、魔王も続く。


「ムガで4名指定も怪しすぎます!唯人様、ここは断りましょう」

「俺も罠だと思うぞ、ヤツらはそういうのが得意だからな。

……そういえば、4人といえば『帝国の至宝』も4人だな」



ひばりが魔王へと聞き返す。


「『帝国の至宝』って?」



俺も気になったワードだ。



魔王が腕を組みながら答えた。


「ああ、王国最強で『剣神』『闘神』『魔神』『癒神』の4人から構成されるパーティだ。

ヤツらが出れば常勝無敗で、ついた呼び名が『帝国の至宝』」



俺は驚き

「魔神!!??

それにそんなヤツらがいるなら何故今まで出てこなかったんだ?」



「魔神は『魔法士の神』という意味だ。別に魔族というわけではない。

だが、確か…『半マーメイド』だった気がするな。

ヤツらは強いには強いんだが性格に難があるらしくてな…容易には使えんのだそうだ」



(半マーメイドだと!!??

マーリーンが結婚とかほざいてたが、アレ冗談じゃなかったのか……

俺はてっきり魚と結婚とか笑いを取る為のものだと思ってたわ…)




(それより性格がヤバいって…

あ、あいつが4人もいるのか…

そりゃやべーな。ノーザイア半端ねぇ…)


俺は性格がヤバいと聞いて、ある男の顔を思い浮かべた。

麻奈やひばり、奈美も同じ男を思い浮かべたようだ。





「ハークシュン!!!」


「ジョー様、お風邪ですか?」


鼻を啜りながら直属の部下へ答えるジョー


「誰かが私の優秀さを噂しているんでしょう。

フフフッ…自身の才能が恐ろしいですよ」





魔王が俺たち4人を見て


「詳しくは知らんが特に『癒神』がヤバいらしい。

噂だが、報酬は金品に加えて若く美しい女を100人ほど要求するらしい。なんでも、『自身の若さを保つ為に、そいつらの血の風呂に入る』んだとか…」



(どっかで聞いた話ーーーー!!!)



麻奈が胸を張って


「私はご褒美にご主人様の体液風呂に入れるならどんな戦いでも負ける気はしません!!」



奈美も「私もです!!」と小さな胸を張っている。


(こいつらどんどんダメな方に振り切っていってる気がするのは俺だけか…??)




「更に強さも折り紙付きだ。『聖の加護』を持っていてな。対魔族では絶大な効力を発揮する。

『癒神』と対峙すれば俺ですら勝ち目はないな」



(癒神やべぇな…ぱねぇよ…)


俺は冷や汗が止まらなかったが、やがて魔王の肩に手を置き


「そ、そうか…

じゃあ魔王君、『癒神』の相手は任せたぞ!!!」


魔王が光の速さで迫りツバを飛ばしながら喚く。


「あんた今の話聞いとった!!??

俺勝ち目無いっつったよね!??あんたん耳と脳はどーなっとんね!?」


俺はしれっと言い放つ。

「だって俺そんなやつとやりたくねーもん」


「俺だってやりたくないに決まっとるぎゃ!」



数瞬の後に俺が出した答え…それは…


「う、うむ。

まあ仮に『癒神』と戦うことになったとしたらその時はジョー君に任せようではないか。似たもの同士だ。何か感じるところがあるかもしれないしな。

まっ、今回は関係ないからノープロブレムだ!!

ハッハッハ!」



奈美があっという顔でこちらを見ていた。


「ん?どうした?奈美。

今はこわがらなくても大丈夫なんだぞ」


「あ、あの…大変申し上げにくいのですが、、、

というやつでは………?」



「「「あっ…エェェェェ!!!??」」」


魔王を除く俺たちは奈美の発言に驚愕した。





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