第44話

〜ノーザイア城〜


ある一室では重苦しい沈黙が流れていた。誰一人として言葉を発しようとしない。


今、この部屋には担任である向井を除いて残っている全ての生徒が集まり副委員長である嶋崎日向の帰りを今か今かと待ちわびていた。


彼女は単身偵察に出かけているが、収穫があろうとなかろうと約束の時間に戻るようにと委員長である日比野から指示されていた。

そろそろその約束の時間だ。




そんな時ふいに扉が開かれた。

みんなはてっきり副委員長が帰ってきたのだと思って顔をパッと明るくし「おっかえり〜!」と言いかけた。


だが、そこに立っていたのはノーザイア城の兵士の一人だった。

その兵士は


「あの〜、日比野颯太さんはおられますか?」


日比野が立ち上がり「日比野は僕ですが…何か?」と返事をした。


「あぁ、あなたが日比野さん。コレを渡して欲しいと頼まれまして…」


そう言って兵士が差し出したのは立方体の箱だ。結構な大きさでケーキを入れる箱よりも大きい。ご丁寧にリボンまでつけられている。


日比野は眼鏡をあげながら

「どなたからでしょうか?」と兵士に尋ねる。


その兵士は困った顔で

「いえ、私も仲間から預かったので誰からかまでは……とにかくお渡しできてよかった。では、私はこれで」


日比野が箱を受け取る。何が入っているのか5kgぐらいあり結構な重さだ。



みんな箱に集まってきて興味津々の様子だ。

「コレ何が入ってるんだろうな?」

「爆弾だったり…?」

「ばぁか、この世界に爆弾なんてねーよ」

「宝石だったりしないかな?」

「フツーにケーキでしょ」

「意外とイタズラでゴミが入ってたりするんじゃないの?」

「俺開けていい?」「私も開けたーい」



何人かが俺!私!と騒ぎたてたので結局、代表して受け取った日比野が開けることになった。


日比野が箱に手をかけ、ゆっくりと上に持ち上げてゆく。


中身が露わになった途端


「「「キャアアアアアアアア!!!」」」

「「「嘘だろ…マジかよ」」」


女子生徒は座り込んで泣き喚き、男子生徒は腰を抜かして後ずさっていた。

開けた日比野も例外ではなく目を見開き腰を抜かしていた。



箱の中身はみんなが帰りを待ちわびていた『嶋崎日向の頭』だった。



一人の男子生徒が叫ぶ。

「や、やっぱり……偵察するなんてダメだったんだ!!!」


女子生徒の中からも

「委員長!!どうすんのッ!!私たちこれで絶対敵だと思われてるよ!!!」


「イヤァァァァァァァ!死にたくない……」


「そ、そ、そうだ。今からでも要塞に行って全面降伏すれば命だけは助けてくれるんじゃないか…?」


口々に喚き散らす生徒たち。

だが、そんな中で一人だけが立ち上がった。


「いや、無理だな。これを見ろ」


矢島は委員長が投げ捨てた箱の蓋を手に取りみんなに見えるように示した。


その裏には血でドクロのマークが刻まれている。


「えっ…これって…私たち全員……そんな」

「委員長のせいだ!!お前がこんな作戦しなければ!!」


「「「そうだそうだ!!」」」


日比野はみんなから責められ後ずさってゆく。

だが、それを止めたのはまたもや矢島だった。


「待て。これは何だ??」


箱の蓋の裏には血のドクロ以外にも小さく何かが書かれていた。


【04 30 11 20 91. 13 81 83 20 02】


「何の数なの?コレ…」

「もしかしてこれ解いたら死ななくて済む……とか?」

「うそっ!?ほんとっ…?」

「絶対解かないと…!じゃないと私たち副委員長みたいに……」


みんなはゴクッと息をのみ、我先に暗号を解くべく目の色を変え考え始めた。

あーでもない。こーでもない。とブツブツ独り言があちこちから聞こえる。




そんな中、4人の女子生徒が1人の男子生徒を取り囲んで慰めていた。

その男子生徒とは『神宮 ひばり』



神宮ひばりは本人にとってはコンプレックスなのだが、美少女の外見をしている。

それはそこら辺の女子では全く相手にならないほどの容姿だ。もはやアイドル並の…

身長も低い為、初対面では必ず女の子に間違えられる。ナンパされた回数も告白された回数も(男女問わず)数え切れない。



そして、このクラスには『ひばり親衛隊』と呼ばれるものが存在していた。それが今ひばりを取り囲んでいる4人の女子生徒たちだ。


「ひばりくん、大丈夫。必ず私が守ってあげるからね」

親衛隊の1人がひばりの頭を撫でながら言う。


「うん!絶対ひばりくんにだけは手を出させないっ!!」

もう1人の親衛隊の子がひばりの手を握りながら言った。


だが、当の本人にはそんな言葉は全く耳に入っておらず謎の番号を見つめていた。




そして、その日の夜ノーザイア城から神宮ひばりが姿を消した。




※御礼※

作品のフォロワーがそろそろ1600人を突破しそうです!PVも23万を超えました。

本当にありがとうございます!

最近一話から見返していると、色々矛盾していることに気付きましたorz

けれど、とりあえずこのまま突っ走ろうと思います。また時間に余裕ができたら編集したいと思っております。

こんな作品ですが、これからも応援宜しくお願い致します。

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