第35話

「入れ。」



俺の合図とともに入ってきたのはエルフのルーミルだ。

その時のヤツらの表情がこれまた笑えた。

ノーザイアの侵攻を受けて壊滅したとばかり思っていたエルフが目の前にいたのだ。



「こんにちは、友好国であるアトランティス議会のみなさん。

ですが、今回の侵攻にあたりご支援いただけたのは首長であるマーリーン殿一人とはどういうことですかね?」



もはや議長の顔は真っ青になっていた。

誰一人として反発する者はいなかった。



「さて、これでおわかりいただけたかな?

アトランティス議会はたった今をもって解散。アトランティスの全ての権限は首長であるマーリーンへと移る。」



議長が最後の悪あがき。


「我々が認めても他の国々の方はどうでしょうか…?」


「フン、他の国はアトランティス内部のことなど気にしない。内政不干渉というやつだ。まぁ、それほど気になるなら…。」


俺はルーミルに顔を向けた。ルーミルも頷き、

「えぇ、我々エルフはマーリーン殿に全ての権限が渡ることを承認致します。マーリーン殿、これからも友好関係をお願い致します。」


更に

「俺も認めよう。」


扉の向こうから聞こえてきた声。入ってきたのは魔王シューベルト・シュナイデン。


「ま、魔王様…どうしてここに…」


魔王はその言葉を無視し

「アーガイア国はマーリーンが全ての権限を持つことを承認する。」


魔王の言葉はもはやライフポイント0だったヤツらに更にトドメをさした。

(なんか見てて笑えるな。)



話し合い後、俺、魔王、麻奈、ルーミル、マーリーンの5人はテーブルを囲んで食事をとっていた。


すると、マーリーンが立ち上がり深々とお辞儀をした。


「皆さま、この度は本当にありがとうございました。これで一気にアトランティスを変えていくことができそうです。」


ルーミルは笑顔で

「いえいえ、単身助けに来ていただいたのですからこちらこそ感謝しております。」


俺は手をひらひら振りながら

「あぁ、後はお前の好きにすれば良い。

それで報酬の件だが…」


マーリーンは驚き飛び上がった。

足ないのに器用なヤツだ。

「報酬!?ですか。」


「当たり前だろ?なに?やっぱ刺身にしとくか。」


すかさず麻奈が同意する。

「ご主人様、それが良いと思います!」


むうぅぅぅぅと唸っていたマーリーンはパッと笑顔で顔をあげ

「わ・た・しというのはどうでしょう?」


はぁ…いや、お前魚じゃん。


「魚じゃありません!!」


魔王とルーミルが同時に

「マーメイド族の幼女でいいだろ?ロリコンなんだから。」

「マーメイドの小さな女の子でよろしいのでは?そういうご趣味なのですから。」


ピキピキッと額に血管を浮かべ

「麻奈ぁ、変わったものが食いたくないか?エルフと魔王の刺身盛り合わせなんていいんじゃないかと俺は思うんだが。」


「い、いえ私はただユイ、メイ様、リン様のお友達にどうかなぁ?と思っただけで。そ、そういう多種族の共同体を作られるのが趣味なのかと…」

「お、俺もだ。」


(こいつら苦しい言い訳を…)


その時、マーリーンがパンッと手を打ち

「メイ様って私を釣り上げられた?

そういうことでしたら私の妹が適任ですね。ちょうど同じぐらいの年齢だと思います。それに、私に似て容姿は良いですから。」


お前…自分で自分の容姿を褒めてどうすんだ。まぁメイの友達が増えるならいいか。




その後、マーリーンは色々忙しいということでアトランティスの使者がマーリーンの妹を連れて来た。


「あなたが司令官殿ですね?

私はマーメイド族のジェシーです。お姉様からココで仕えるように言付かってきました。どうぞよろしくお願いします。」


なんだ、マーリーンの妹だというからどんなぬけたやつかと思えば案外まともじゃないか。

確かにマーリーンに似て容姿は抜群だ。胸は…まぁ成長過程だろう。



「ん?俺が司令官だって言ったっけ?」


「いえ、お姉様から『胸しか取り柄のないビッチに好かれている人が司令官よ。その司令官と友好関係を結んできてちょうだい。あわよくば恋のキューピッドになってくれると嬉しいわ。』と。」


隣で麻奈が震えている。こ、こわい…フェルトさん以上かもしれん…


「だ、誰が胸しか取り柄がないだぁ!?あんのクソビッチめが!!さらにご主人様を狙ってるだとっ?」


麻奈が急に下を向いたかと思うと今度は笑顔で

「ご主人様、少しお暇をいただいても?やはりご主人様もお魚のお刺身が食べたいでしょうし…」


「待て待て待て。今の麻奈ならマジでやりかねん。

ところで、ジェシー。悪いが、ロストエデンには普通の部屋しかなくてな。今からすぐに大きな池を造らせるから、それまでは待機で頼む。」


ジェシーが微笑み

「いえ、その心配はありません。少しお待ちを。」


次の瞬間、ジェシーが煙に包まれた。

煙がはれて現れたのはヒト型のジェシーだ。ただ、何も身につけていないスッポンポンの状態だが…


「これで大丈夫です!」と笑顔のジェシーに俺は、、、


「とりあえず服を着ろー!!!それから下を隠せ!!」と叫んだ。



こうしてロストエデンにマーメイド族のジェシーが加わったのだった。




※御礼※

10万PVを達成しました!

これも皆様が読んでくださったおかげです。

また、そろそろ作品のフォロワーが1000を突破しそうです。

本当にありがとうございます!

これからも皆様のあたたかいご支援宜しくお願い致します。

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