第34話
〜アトランティス議会〜
「全く!あのお飾り首長はどこへ行ったんだ!?一応アトランティスの首長だぞ。」
「議長。それが、サーニャを助けると一人で出て行ったそうですぞ。」
「勝手なことを…だからお飾りにしかならんのだ。」
「全くですな。しかし、一人で向かったということは生きて帰ることはないかと…後任をすぐに決めなければなりませんな。」
「フン、見た目が良ければ誰でも良い。若くて見た目の良い女を……な、なんだっ!!?」
ものすごい爆音と揺れとともに建物の一部が崩れ、議会に出ていた権力者たちは慌てふためく。
「ノーザイアの侵攻か!!?
だが、偵察隊からは何も…彼らに知られずこんな大規模な攻撃をノーザイアが行ったのか!?」
その時、議会場だけではなくアトランティス全体に響く声が聞こえた。
「あーあー、我々は要塞ロストエデンである。今の攻撃は脅しなので当ててはいないが、次は外さない。1時間だけ待つ。速やかに無条件降伏をするように。」
「ロストエデンだと!どこの馬の骨か知らんがバカなことを!!警備隊をすぐさま迎撃に向かわせろ!!」
30分と経たずに警備隊がロストエデン迎撃の為に出撃。
海の中はマーメイド族のテリトリーだ。ロストエデンなどというわけのわからぬヤツらはすぐに撃退されるだろう。みながそう思っていた。
マーメイド警備隊
「な、なんだ!?これは!水中に船だとっ!?こんな巨大な…それにモリが通らないぞ。」
「隊長!!大変です!」
「どうしたっ!?」
「その一隻だけじゃありません…同じものが多数!!アトランティスを取り囲んでいますっ!!」
「な、なんだと…!我々の戦力では対応しきれな…」
そこまで言ったときマーメイド警備隊隊長の身体は真っ二つに切断されていた。
よく見ると隊長だけではない。近くにいた他の警備隊も腕が切断されていたり、酷い者は首から上が飛んでいたりする。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!そ、そんな…なんでこんなことに…」
『The lost world』では地上戦だけではなく海上戦、水中戦もある。その為にロストエデンではLv17の潜水艦を100隻保有している。
ちなみに他プレイヤーは普通で1・2隻。強プレイヤーで5・6隻だった。
別に100隻も必要ないが、無人ワールドになってから戦闘がなく資源を使わなくなったので暇だったから増やしただけだ。
「あーあー、攻撃を受けた(船体をモリで突かれただけだが)ので即時報復を行う。議会場を吹き飛ばすので、そこにいる者はすぐに避難した方が身のためだぞ。間に合えば…の話だが。」
「議長!ここは危険です。すぐに避難を!!」
「えぇぃ!!わかっておるわ!警備隊のやつらは何をしておるんだ!?」
議長らが避難して数十秒後、ものすごい爆音とともに議会場が吹き飛ばされた。たった一撃で…
それを驚愕の表情で見た議長ら、いやアトランティス中の全ての者が警備隊が全滅し、さらにこのアトランティスは終わりだということを悟った。
その後すぐにアトランティス議会からの使者がやってきて無条件降伏をすると伝えてきた。
俺は使者に「議会に関係する全ての者をここに連れてくるように。」と伝えた。
約2時間後、潜水艦の中に議長を含め議員25名全てが集まっていた。
「俺がロストエデンの司令官、三鍵唯人だ。突然だが、アトランティス議会はたった今をもって解散。全ての権限は俺が任命する者に与える。異論はあるか?」
議員の1人から「なんだとっ!?横暴だ!突然攻めてきておいて全てを放棄しろだとッ!?」
「そうだそうだ!」と他の議員3名もその声に賛同した。
タタタタタッ!と軽い音が響き、発言した議員と賛同した議員がドサッと倒れる。
俺は手を挙げてもう一度聞いた。
「他に異論のある者はいるか?」
誰一人として異論を唱える者はいなかった。
「そうか。ではお前たちはたった今から一般市民だ。それから俺が任命する者を紹介しよう。本来なら俺が指揮を執ってもいいんだが、あいにく俺は見ての通りヒト種でね。」
議長を含む議員21名は誰が任命されるのか緊張していた。
「オイ、入ってこい。」
「し、失礼します。」と入ってきたのはマーリーンだ。
議長、議員全ての者は驚愕していた。
それはそうだ。サーニャを助けに行き、死んだはずのお飾り首長であるマーリーンが生きていて更に全ての権限を俺から任命されたのだから…
議長が辛抱できずに叫ぶ。
「い、生きていたのか…!どういうことだッ!?我々を裏切ったのかっ!」
議長を撃とうとしている兵を手で制し、俺は不敵な笑みで言い放った。
「裏切ったのはお前らだろ?」
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