第27話
とりあえず俺は恥ずかしさで死にそうになっている三木島に事情を説明することにした。
「やぁ、三木島さん。転生おめでとう。」
顔を覆っていた手を少し開いてこっちを見てから言う。
「三鍵君、私どうなったの…?転生って?それにこの格好…」
「さっき魔王も言ってたと思うんだけど、君はサキュバスの上位種である『リリス』に転生したんだよ。どこまで覚えてる?」
えっとえっと…と必死に思い出そうとする三木島。
「三鍵君が青の球を引いて…それから木嶋さんと橘さんが私を押さえて三鍵君が剣で…」
記憶も大丈夫なようだ。
「うん、ちゃんと覚えてるね。青の球を引いたのは君をこうやって助けるためだったんだ。こわい思いをさせてしまってごめん。」
俺は素直に頭を下げた。一時的とはいえ本当にこわかったと思う。
「あれ?でも、三鍵君が青の球を引いたのって…偶然だよね?」
俺はナターシャを呼び、箱を受け取った。そしてその中から3つの球を取り出す。
「君たちはこの球に触れてないだろ?確かに見た目は同じ大きさの球だけど…」
と言いながら球を三木島に渡す。
三木島が驚きの表情になった。
「あっ!重さが全然違う!!青の球は軽くて、赤の球は重い。白は中間。これなら…」
「そう、簡単に見分けられるってわけ。三木島さんがどの球でも俺はそれを引き当てられたんだよ。」
それからと続ける。
「あまり無理強いをするつもりはないんだけど君の主人は俺だから【命令】されると意志とは関係なく動いてしまうんだ。さっきのように。」
三木島は俯いてしまった。
そりゃそうか。クラスメイトのしかもカースト底辺のやつが主人だもんな。誰だってイヤに決まっている。
「三木島さんがイヤならこのままどこかで静かに暮らしてもらって構わない。リリスならアーガイア国でも奇異に見られることはないし、俺が魔王に頼んでも構わない。」
ずっと俯いている三木島が少し震えている。
そして、聞き取れないぐらいの声で返事をした。
「………い。……しい。」
全く聞き取れなかったので聞き返す。
「三木島さん今、なんて?」
俺が聞き返した瞬間、ガバッと顔をあげると満面の笑みで答えた。
「嬉しい!!
あぁ…私あんなことやこんなことさせられたり、モノのように扱われたりするのね…そして、妊娠!!」
に、に、妊娠!?ゲホゲホッ…何がどうなってるんだ?混乱する俺をヨソに三木島は続ける。
「いつかこんな日が来るのを夢見ていたの!あぁ…なんとお呼びすればいいかしら?三鍵君なんて失礼すぎるわね。やっぱりベタだけどご主人様よね!!」
完全に妄想の世界に入った三木島を見て、俺は若干、いやめっちゃヒイた。
オイッ!!魔王!!お前はとんでもない変態を爆誕させてしまったぞ……
俺が心の中で魔王を非難していると、三木島が胸を覆っている布に手をかけていた。
「な、何をしている!?」
三木島はキョトンとし小首を傾げて
「ご主人様、決まってるじゃないですかぁ。ご主人様の手を煩わせずヤりやすいように脱ぐんですよ。
…………ハッ!?ご自分の手で脱がせたい方でしたか?私ったら気づきませんで…」
俺は頭を押さえながら
「いや、ヤらないから。」と言った。
三木島はエェェェェ!?という顔をしてからすごく残念そうに落ち込んだ。
しばらく落ち込んだ後、三木島が
「そういえばご主人様。あの2人はどうなさったのですか?」と聞いてきた。
「そこに転がってるよ。大丈夫生きてる。約束だからな。」
まぁ!と顔を輝かせ三木島が転がって唖然としている木嶋と橘に歩み寄る。
「麻奈、アンタその格好…いや、それよりアンタなんで生き返ってんのよ!?」
フフフと笑いながら三木島が2人に事情を話した。
「なんでアンタだけっ!?最初っからそのつもりだっただって!!三鍵ぃぃ!!」
橘が怒り狂って叫ぶ。
「ところで、この2人はなぜ両腕と両足がないのですか?ご主人様。」
「あぁ、この2人にはオークの苗床として働いてもらうんだ。その身体だけあれば充分だからな。邪魔な両腕と両足は切り落とさせてもらった。」
まぁ!!と三木島がパンと手を打ち
「オークさんに嬲られて種族繁栄の礎となるんですね。私にはご主人様以外など絶対無理ですけど遥と愛はすごいです。頑張ってたくさん産んで下さいね。
聞いてたら昂ってきました!やっぱりご主人様ココで犯し…あいたっ。」
俺は三木島の頭をポカっと叩いた。
やれやれ前途多難だな。まぁなるようになるか。
そうこうしているうちに多分魔王?が戻ってきた。というのは顔が可哀想なくらいボコボコだったからだ。
お前接近戦も完璧みたいに言ってなかったか?と聞くと、魔王?はフェルトは接近戦の鬼だからなと答えた。
そうか。フェルトさんは怒らせないようにしよう…と心に誓った俺であった。
その後、ギャーギャーうるさい木嶋と橘の口を塞ぎ、俺と魔王?と三木島でオークのもとへと送ってやった。
2人はオークのもとへと近づくにつれ可哀想なくらい「んんーんんーっ」と涙を流して泣き喚いていたが全く心に響かなかった。
オークの住処はすごい臭いだった。「まぁそのうち慣れる慣れる!頑張って良い児を産むんだぞ」と励まして置いてきた。
オーク2人はヤる気満々の様子だったので種族繁栄も近いだろう。
さてと、後は…サーニャとの話し合いか。戻ったらナターシャ辺りが全て終わらせといてくんないかな?
俺はもうお腹いっぱいなんだが…
そういうわけにもいかないことは百も承知だが一筋の希望を胸にサーニャへと戻る俺たちだった。
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