第6話

研究棟に入ると、博士の部隊に出迎えられる。(と、言ってもアンドロイドだが…)

彼女たちは俺に深々とお辞儀をし、中へ案内する。


(別に知ってるから案内いらないんだけど…)と思ったが口には出さない。



彼女らは顔、スタイルともに超一級なのだが、アンドロイドとわかっている俺は別に何とも思わない。

そして、最深部へとたどり着く。



「司令官、お待ちしておりましたよ。解析結果をすでにレディにはインストールしておきました。

レディから全部隊へアップデートが行われ、全部隊こちらの世界で会話ができるようになりました。

後は…司令官と副官だけです。」


さすがに生身の人間である、俺と副官はインストールというわけにはいかない。


「で、我々はどうすれば良い?」


「司令官と副官の為にこちらの薬を用意致しました。こちらをどうぞ。」


試験管が7本用意されている。だが、1つ問題がある。


「ジョー博士、聞きたい。なぜ、こんなに凶々しい色をしている?鮮やかな青色とかにはできなかったのか?」


「司令官、良薬とはそういうものですよ。」


言語がわからないのは困る。ふぅ…と諦めのため息をつき、一息で飲む。


(にがっ!!!!これ苦っ!!)

顔には決して出さないように努める。


「これで、あの虜囚たちと話せるか。では、早速向かおう。ジョー博士、他の副官たちにもこの(おそろしく苦い)薬を。(俺だけこんな目に遭ってたまるか。ナターシャあたりは吐くんじゃないか?笑)」


「しかし、簡単に情報を話しますかねぇ?私に任せてもらえれば、かいぼ…情報を引き出してみせますがね。」


「(こいつ絶対解剖する気だ!こいつに任せてはいけない気がする。)博士には他にもやってもらいたいこともあるからな。レディ、カーミラをここへ呼び出してくれ。」


「かしこまりマシタ。すぐに行くとのことデス。」


5分も経たずにカーミラが到着。薬を飲ませ(予想通りカーミラは全くの無表情だった。)虜囚のもとへ向かった。



ジョー博士の予想通り、最初は情報を話さなかったが、そのたびにカーミラの拷問が入り(指を一本ずつ折る…etc)、最後にはペラペラ話してくれた。

ちなみに、拷問してる間も無表情で(カーミラさんマジコワイ…)と思ったが口にも表情にも出さない。



わかったことは

①…ここはヒト種ノーザイア帝国の北東、魔族アーガイア国の南に位置する。

②…魔族の未知の魔法だと思い、調査&討伐に来た。

③…最近、ノーザイア帝国中央で召喚が行われ、成功した。

④…我らが戻らねば、より強力な部隊が〜。だから逃が〜。



うるさいので途中からは聞いてない。召喚はまず間違いなくクラスの奴らのことだろう。なんで、俺だけ違うところ…


(ん?待てよ。そういえばスキルが無くなったとか何とか…ロストエデンを持っていく…アレ、マジだったのか!!そうすると、言葉がわからなかったのも…言語のスキルが無いからか。そういうことか。)


全て理解した俺は今後の指示を出す為、レディに副官を全員司令室へ呼び出すように伝えた。



10分後、司令室に全ての副官が集まっていた。そして、先程の情報を伝える。


「これからの方針だが、一番近いウェル領を調査しに行く。これは俺が担当する。」


ジョー博士が慌てて、

「司令官自らは危険なのでは?私が行きましょう!ついでに何人か攫ってけんきゅ…情報をもっと引き出してご覧にいれますよ。」


俺はキッパリ

「いや、ジョー博士は今回捕らえた残りを研究してもらう。どうなっても構わないが、ちゃんと役立ててくれ。」


ジョー博士は満面の笑みで叫ぶ。

「きたよ、キタコレ!マジでござるか!とうとう魔法士を解剖できる時でござる!!もちろん、役立てるでござる!!」


嬉しすぎてキャラ崩壊してるぞ。


カーミラが首を振り

「司令官だけ危険…行く…」


(いやいやいやいや、カーミラさんマジコワイってさっき思ったとこだよね俺。カーミラさんだけは無いわぁ。)


しかし、見渡すと他の副官もカーミラが行くならいいか。みたいな空気になっている。もはや選択肢は無かった。


「カーミラ、同行してくれ。それからカーミラの部隊から何名か目立たない人数も同行させてくれ。出発は30分後だ。他の者は警戒を怠るな!以上だ。」


「ハッ!!」



そして、きっかり30分後バトルバイクに乗り俺たちはウェル領へ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る