死神はそこに立っている

阿々 亜

プロローグ

 ねえ、どうしたの?


 少年は、目の前に横たわる少女に問いかけた。


 なんで、動かないの?


 少女は答えない。


 なんで、息してないの?


 少女は答えない。


 そして、少年は、少女の傍らに佇む「それ」に気づいた。


「それ」は全身を黒い布に包んでいた。


「それ」は黒い大鎌を携えていた。


「それ」は胸元には黒い水晶をぶら下げていた。


その水晶の中には赤く光る「0」の文字があった。


 少年は「それ」を見上げた。


「それ」の頭は黒いフードを被っていた。


 少年は「それ」に問うた。


 きみは、だれ?


「それ」は答えない。


 しかし、「それ」は笑っているかのようみえた。


 皮膚も、肉も、目玉もない、空っぽの頭蓋骨の口を開けて...

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