脇役の逸脱

ゆきしろ

本編1 ~勇者パーティーと脇役~

~プロローグ~

第1話 プロローグ①

 古ぼけ、くすんだ道石を血しぶきが汚し、黒い影が地に落ちる。倒れたのは私たち人ではなく、野に住み、人間に襲い掛かってきた魔物達の方ですが。それを道の脇で、何をするでもなく眺めている私。そんな日常?の風景。

 皆さんこんにちは。初めまして。私はリリシアといいます。何と、勇者様ご一行の記録係をしています。何だかよく分からない職業ですが、勿論、記録係というのは、勇者様ご一行において戦闘を担う職ではありません。

 そもそも、勇者一行に記録係が必要なのか、というところ自体に疑問の余地があります。そう考えますと、何でいるのでしょうか、私は?自分の存在意義に疑念をも持ってしまいますね。

 そして、より正確に言うと勇者様「候補」ご一行であり、かつ、メンバーはたった三人しかおりません。しかもその内の一人は非戦闘人員ですので、実質二人です。

 勇者様ご一行であれば、せめて三人、できれば四人、八人位いると尚良いかと思います。

 そうすれば、誠に遺憾ながら一人二人倒れてしまっても、いずこからか飛び出してきて、立て直しが出来ることでしょう。

 ついでに言うと、二人というのはどうにも中途半端ですので、寧ろ一人の方がよいのではないかと思ってしまいます。勇者とお姫様の二人組ならば、「昨晩はお楽しみでしたね」的な何かになるかもしれませんが。

 さて、私がそんな一行の中で記録係なんてものをやっているかといいますと、深――くもない理由があったりします。

 突然勇者様一ご行の活躍を綴り始めても、これを読まれている奇特な天の方々にはよくお分かりになられないでしょうから、まずはその辺りの内容から記述してみたいと思います。

 あれはそう、今からおおよそ一ヵ月ほど前のことです――。

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