暗夜異聞 復讐者

ピート

 

 久しぶりに戻った村は焼け落ち、誰の姿もなかった。

 一体何が起こったんだろう?

 親父は何処だろう?

 食事をよく届けてくれた、隣のおばさんは大丈夫だろうか?

 優しかった村のみんなの顔が浮かぶ。

 自宅に行ってみると、扉は打ち破られ、家の中も荒らされていた。

 盗んでいくような物なんて何も無かったのに……。

 残っている人がいないか、狭い村を順に見て回る。

 どの家も酷い状況だった、焼け落ち、打ち壊され、黒くなった血の痕がそこかしこに残されていた。

 生き残っている人もいなかったが、遺体も残ってはいなかった。

 盗賊にでも襲われてしまったんだろうか?

 みんなは森に逃げ延びたのだろうか?

 もうすぐ日が落ちる。

 荒らされた家に戻り、朝になったら森に入れるよう準備をする。

 親父と何度か森には入ったこともある。

 猟師小屋まで行けば誰かがいるかもしれない。

 色んな事を考えながら、気が付くと眠りに落ちていた。


 小さな村だった。

 親父と一緒に皆で開拓して出来た村だと言っていたのは、誰だっただろう?

 村に住む者は皆、家族のように暮らしていたのだ。

 夢に出てきたのは村のみんなと過ごした優しい記憶だった。

 目が覚めると森へと向かう。

 無事にみんなと会える事を願って……。





 猟師小屋に荒らされた痕跡は無かった。そして、誰かが最近立ち寄った痕跡も無かった。

 盗賊に襲われ、皆が殺されてしまったとしても、遺体は何処に消えたというんだろう?

 森ではなく、峠を越えて隣の村まで逃げたのだろうか?

 あの血の痕は村を襲った者達のものなのだろうか?

 狩りをしていた人もいるが、盗賊と戦う術を持ってる人なんていたんだろうか?

 猟師小屋に残されたいた物を確認し、使えそうな物を持ち出す。

 この時間から峠を越えるのはさすがに危険だ。

 食料を確保しておいた方がよさそうだ。

 狩りの準備をし、森の奥へと進む。


 ……りん

 鈴の音?

 ・・・・・・・・・・・・りん

 何処からだろう?

 聞き逃さないように、集中して耳をすます。

 ……りん…………りん

 向こうだ、音が聞こえた方向へと進む。

 この奥は少し開けた場所があったはずだ。

 木々の間を走る抜けた先に、陽が差し込める広場で少女が舞っていた。

 見た事もない服だ。

 彼女が舞うとマントについた鈴が、りんと音を鳴らす。

 光に包まれるように舞う少女に見惚れていた。

「何か用かしら?」

 いつの間にか動きを止めていた少女に問われ、我にかえる。

「すまない、その見惚れてしまって……。森に女の子が一人でいるのは危険だ」

「自分の身を守る術は持ってるから心配しなくて大丈夫よ。もしかしてこの先の村の人かしら?」

「そうだ。君は?」

「私はルルド。峠の先の村から来たの。村まで案内してもらえないかしら?」

 隣村の娘だったのか。でも、こんな娘を見た記憶はないが……。

「マーシュの孫娘ルルドよ。病であまり外に出る事がなかったから、村に来た事があっても私は貴方を知らないし、貴方も私の事は知らないと思うわ」

 マーシュさんの孫娘……そういえば病で療養してる娘がいると聞いてたが、マーシュさんの身内だったのか。

 それにしても、こんなに美しい娘だったとは。

「俺はジェイド……村には誰もいなかった」

「……そう貴方の村もなのね」

「も?」

「私の村にも誰もいない。病を治す為に私は村を出ていたの。戻ってきた村は荒らされ焼け落ち、打ち壊され、たくさんの血の痕もあった。けど、誰もいなかった。この森に入ったのは数日前……」

「俺もマーシュさんの所に避難してるものだと思ってた。村の状況は同じような感じだ。俺は領主様の所に行ってたんだ」

「貴方の話を聞きたいのだけど、案内してもらえるかしら」

「盗賊が戻ってきてるかもしれない」

「大丈夫よ。貴方は自分の身の心配だけをしていればいいわ」我が身は守れると言うが、病でしばらく動けていなかったのではないのか?

「病はもう大丈夫なのか?」

「えぇ、良い先生に治療していただけたのよ。元気になった姿を村の皆に見せたかったのに……」

「俺も領主様の所で学んだ事を村で活かす予定だった。ルルドの村の事も含めて領主様に報告に行かねば」

「村には戻らない?」

「ルルドの村の状況について詳しい話が聞きたい。二つの村だけで被害が済んでいるとは思えないからな。このまま村まで戻って、盗賊が戻っていなければ村で一晩休息して、早朝には村を出発する。戻ってきてる気配があれば、迂回して領主様の元にそのまま向かう。道中互いの知る情報を交換しよう。いや、ルルドが一緒に向かうならの話だが……ただ、君を残していくのは色々と心配ではある」

「私は貴方の村の事を知りたい。私の村とは似てるようで違うかもしれないから」

「村を襲った賊が他にもいるというのか?」

「峠を超えてまで襲うような裕福な村ではないもの。ジェイドの村はどうなの?」

「生活するには困るような事はなかったが、遊んで暮らせるような村ではないさ。助け合い協力することで生活出来てた。新しい知識を得るために領主様の元で働きながら学ばせてもらって、村に戻るのは二年ぶりだった」

「私は治療で村を離れていたから、戻ったのは半年ぶりくらいかしら」

「俺がマーシュさんの所に行ったのは五年くらい前になる。その頃はもう病に?」

「五年前ならまだ病にはなってないわ。たまたま会えなかったのかもしれないわね」

 五年あれば子供は随分と成長する。会っていたとしても覚えていないのかもしれない。

「盗賊を避けて避難している可能性だってある。皆の無事を祈ろう」

「信心深いのね」

「そうでもない。ただ祈って皆が無事になる可能性が少しでもあるなら祈るだけさ」

「……そうね」

「村に戻るが荷物はそれだけなのかい?」峠を超えて来て数日経つという話だったが、あまりにも軽装だ。

「えぇ、食料は数日分は持ってるし、足りなければ狩りでもするわ。水と暖を取れるものは持っているから大丈夫よ」

「病で倒れるまではマーシュさんに色々と教わっていたみたいだな」まだ幼さも残るのに、そんな術まで覚えているのか。

「お祖父ちゃんには色んな事を教わっていたのよ。先生に教えてもらった事もたくさんあるけどね」

「まぁ、無理しないでも俺が一緒にいる間は頼ってくれればいいさ。それと領主様から病で倒れている者の為に持って行くように薬を渡されていたんだが、俺の村には病人はいなかったはずなんだ。もしかしたらマーシュさんが領主様にお願いしていたのかもしれない。君に渡しておくから、体調が悪いと感じるような事があれば使ってくれ」領主様から渡されていた懐紙に包まれた丸薬をルルドに渡す。

「領主様がこれを……」丸薬を受け取ると、懐紙を広げ、しげしげとそれを見つめる。

「領主様の事をマーシュさんから聞いた事はあるかい?」

「貴方の村の先に領主様が治める街があるとだけ、私の病の治療法を探して何度か街まで行った事があったから、領主様の耳に届いたのかもしれないわね。」

「優しいお方だからね。村の事を聞けばきっと盗賊の掃討に兵を出してくれるさ」

「だといいわね。でも、私には必要ないから、これは貴方が持っているといいわ」そう言うとルルドは懐紙に包み直した薬を俺に手渡す。

「体調が悪くなったりして必要なら言ってくれよ?会えば素晴らしい方だという事はすぐにわかるさ。俺みたいなのにも教育を受ける機会を与えてくださったんだから」

「随分と信用してるのね」

「領主様の元で随分と良くしてもらったからね」

「そう。貴方の準備が出来てるなら村に早く行きたいのだけれど?」

「あぁ、すまない。食料を確保して峠を超えるつもりだったんだが、村か街へ抜けるなら、手持ちだけでもなんとかなりそうだ」

「融通出来るほどの余裕はないわよ?」

「食料の調達くらい自分で出来るから心配するな。君は大丈夫なのか?」

「私は貴方の村まで行ってから、その後の事は考えることにする」

「街へ一緒に来てもらえると領主様への報告がしやすいんだがな」

 村までの道中でルルドの村の事を教えてもらうつもりではいたが、直接報告してもらった方が詳細は伝わるだろうし、戻りながらその辺りの説得をしてみることにするか。




 道中、ルルドから聞けたことは大した事ではなかった。

 荒らされた村には誰も残っていなかった、そして遺体も無かった。

 遺体がなかったという事は、何処かに逃げ延びたという事なんだろうか?

 もし遺体が何者かの手で処理されたとしたら、一体何のために?

 それは俺の村も同じ事だ。

 賊に襲われたのなら、遺体はそのままだ。

 獣が処理したのだとしても、何一つ残らないなんてことはない。



「ルルド、その先が俺の村だよ。今は誰もいないが」盗賊が戻ってきている様子もない。

「行きましょう」

 幼いと思っていたが、途中ペースを落とす事なく、ここまで辿り着いた。

 確かにこの薬は必要なさそうだ。

 村へと進む。

 目の前に広がるのは出発する前に見た光景だ。

「ジェイド!帰ってきたのかい」

「!?」

「どうしたんだい?そんな驚いた顔をして」

 心配そうに俺を見つめるのは隣に住んでたマーサおばさんだ。

「マーサおばさん、無事だったのか?」

「無事?何言ってんだい、見ての通りだよ」

「皆は?」

「皆?何かあったのかい?」

「昨日俺が戻ってきた時には、村は随分と荒らされて……」

「荒らされて?見てごらん、何処が荒れてるんだい?」

 さっき声を掛けられるまで、見えていたものとは違う。

 奉公に出る前とは違うところもあるが、荒らされてなどいない。

 昨日見た光景は何だったんだ?

 何が起きているのかわからない、そうだ彼女なら……。

「ルルド!」

 振り向いたがさっきまで一緒にいた少女の姿はない。

「ルルド?誰のことだい?」

「さっきまで一緒にいたんだ」

「何言ってるんだい。ジェイドの姿を見て声を掛けた時から、あんたは1人だったよ?」

「一緒に来たんだよ、マーシュさんの孫娘のルルドを知らないか?」

「あぁ、病で療養してるって娘だろう?ここまで一緒に?領主様の街から此処に帰らないままマーシュさんの村に行っていたのかい?」

「いや、昨日一度戻ってきたんだ」

「昨日?マーシュさんの村まで行って帰ってくるには早すぎるじゃないか。それに昨日帰ってきただって?一体何処にいたんだい?領主様のトコにあんたが奉公に行ってから、ルースは仕事が終わると毎日村の入口に行ってたんだよ?いつジェイドが帰ってきてもいいようにってね」

「親父が?村の入口には誰も……いや、皆は無事なのか?盗賊に襲われたんじゃないのか?」

「何言ってるんだい。旅の疲れで変な夢でも見たんじゃないのかい?盗賊なんか来ちゃいないさ、皆いつも通り元気してるよ。早く家に戻って、ルースに元気に姿を見せてやりな」マーサおばさんは俺の背中を勢いよく叩く。

 痛い……あれは夢だったのか?

 だとしたら、ルルドは?

 渡した薬は……そうだ返されたんだった。

 心配そうに見つめるマーサおばさんに大丈夫だと伝え、自宅へ向かう。

 だが、昨日は親父の姿はなかった。

 マーサおばさんが言うように夢でも見ていたんだろうか?

 あんなに荒らされて打ち壊されていたはずの建物は、どれも村を出る前の姿を保っていた。

 それなりに老朽化してる部分もあったが、壊されたり、焼け焦げた場所も忌まわしい血の痕も無かった。

 ……夢だったのか?

 だとしたら何て夢だ。

 村の中にはルルドはいない。マーシュさんの村でまだ療養してるなら、この薬を持って行ってやらないと。

 自宅に向かう途中で声を掛けられる。

「ジェイド!帰ったのか?」

「ルースさんがいつも心配してたぞ」

「土産話をあとでゆっくり聞かせてくれよ」

「明日、ワインでも持って行くから、色んな話を聞かせてくれよ」

 皆元気だ、怪我をしてる様子もない。

 やはり夢だったのか?


 昨日とは違い、壊れていない我が家へと足を踏み入れる。

「ただいま!親父!マーサおばさんから聞いたよ、村の入口で待っててくれたんだろ?」

 狭い家だ、聞こえていないはずはないのに親父の返事はない。

「親父!」入口にいなかったって事は、まさか倒れてるんじゃ……。

 寝室へと向かう。

 ドアを開けるが誰もいない。

「親父!何処にいるんだよ!」

 俺の部屋か?

 自室のドアを開ける。

 ……何だ?これは一体何が?

 そこは昨日見た、荒らされたまま自室だった。

 どういう事だ?皆は無事だった、家だって荒らされてなどいなかった。

 確認にする為に部屋を出ると、そこは荒らされた我が家だった。

 打ち壊され、焼け焦げた臭いもする。そして忌まわしい黒い血の痕も。

 さっきまでは壊れてなどいなかった、マーサおばさんに叩かれた背中は痛かった。

 では、これが夢なのか?

 一体どこから?

 部屋に入ったところからか?

 それともこれが現実なのか?

 自分の頬をつねる。

 痛い……これが現実だというなら、さっき会った皆は?

 マーサおばさんに叩かれた背中の痛みは?

 それに親父は何処に?

 家を出て村の様子をもう一度確認する、まずはそれからだ。



 家を出ると待ち構えていたようにルルドが現れた。

「今まで何処に?」

「村の様子を確認していたのよ」

「俺が昨日見た村とは違う」

「でしょうね」ルルドの表情は一切変わらない。

「……親父を知らないか?」

「ジェイドのお父さんは知らなけど、此処に住んでいた男性なら知っているわ」

「!?村に来るのは初めてじゃないのか?」

「案内をお願いしただけで、来た事がないだなんて言ってなかったと思うけど?」

「俺の村に何が起きてるんだ?」

「何もかも終わった事だわ」

「終わった?親父は何処に?」

「広場に行ってみなさいよ」

「ルルドは?」

「遠慮しておく。行っても仕方ないもの」

 そう言うとルルドは俺の家に入っていく。

「中で待っていてくれ。すぐ戻ってくる」

 ルルドが待っていてくれるかはわからないが、声を掛け広場へと向かう。



 喧噪が聞こえる

「魔女の村を焼き払うんだ!」

「領主様の命令に背くのか!」

「待て!マーシュ様にどれだけ世話になったのかお前たちは覚えていないのか!」

 親父の声だ!

「そのマーシュ様のおかげで俺たちはこんな村を開拓するはめになったんじゃないか!」

「それを選んだのは我々だ!」

「来ていなければ処刑されていた!好きで来たわけじゃない!ましてや魔女を身内に抱えていただなんて知っていればな!」

「魔女なんて証拠が何処にあるっていうんだ!マーシュ様を恐れている者の戯言だ!」

「医者の薬も効かない病なのに何年も生き長らえているなんておかしいじゃないか!」

「マーシュ様がどれだけ健診的に看護していると思ってるんだ!」

「魔女でないなら、その娘は呪われているんだ!」

「呪われた病をこの村にまで持ち込まれては困るじゃないか!」

 魔女?呪い?そもそもマーシュ様ってどういう事だ?

「領主様の元に行って話をしてくる!帰るまで動くな!」

「馬鹿なことを!この村も魔女を匿う村にすると言うのか!」

「ルース!俺達はもうマーシュに巻き込まれて苦労なんかしたくないんだよ」

「ルースを捕まえろ!明日には魔女の村を焼き払うぞ!」



「親父を放せ!皆冗談だろ?放せ!親父を解放しろ!」

 親父を押さえつける男に掴みかかる。が、腕は空を切る。

 目の前にいる連中に俺の声は聞こえていないのか?

 触れる事も出来ないまま親父は縛られ、広場から引きずるように俺の家に連れて行かれた。

 それは打ち壊されていない我が家だった。

 ルルドが入った時、扉は壊れていたじゃないか……どういう事だ?



「魔女と通じてる証拠がないか探すんだ」

「まさかルースまで魔女に?」

「マーシュからの手紙があるぞ」

「ルース!お前も魔女の仲間だったのか」




「やめろ!やめてくれ!親父!親父を放せ!」

 声は届かない。

 触れることも出来ないまま、目の前で親父は縛られ、暴行され、わけのわからない罪を着せられていく。

 何故?これは夢なのか?夢なら覚めてくれ!お願いだ……親父を助けてくれ。



「ルースは魔女の仲間だった」

「領主様の命だ!火あぶりにしろ!」

「他に魔女の仲間がいないか探すんだ!」

「ルースと同じように反対していた者を捕まえろ!」

「この村も魔女の村となれば、皆火あぶりにされるぞ!」

 村の皆が殺しあう、さっき声をお帰りと言ってくれた連中がマーサおばさんを殴りつける。

 止める者も同じように殴られ、縛られ……。



「やめてくれ!!」

 何故俺の声は届かない、何故触れる事が出来ないんだ。

 燃え盛る炎に焼かれ悲鳴が聞こえる。

 絶望の叫びだ。

 仲の良かった友人が、俺の大切な友人を親父を、世話になった人たちを暴行し、縛り上げ火あぶりにしていく。

 悪夢だ。お願いだから夢であってくれ。



 夜が明ける、焼け焦げた悪臭が漂う中、暴力の熱にうかれるように彼らは旅立っていった。

「魔女を火あぶりに」

「魔女の村を焼き払え」

「マーシュを捕まえろ」

 そんな事を口にしながら……。



 ルルドは村には誰もいなかったと言っていた。

 あいつらは同じことをしに行ったというのか?

 いや、今旅立ったのなら、峠を抜ける為に何処かで休むはずだ。

 その間に先回りすればいい。

 急ごう。

 村を出ようとした時、疲れ果てた顔で連中が戻ってきた。

 どういう事だ?



「手間をかけさせやがって」

「魔女を探さないと」

「領主様に魔女が逃げた事を知らせるのか?」

「馬鹿なことを!俺達が逃がしたと言われたらどうするんだ!」

「だからあの娘を生かせておけばよかったんだ」

「暴れるのを黙らせるつもりだったんだよ」

「お前たちだって楽しんでたじゃねぇか」

「森に逃げ込んだ連中を追っかけてる間に、お前らそんな事してたのかよ」

「お前は狩りがしたいって言ってたじゃねぇか」



 誰だこいつらは?

 気になる娘に話しかけられて顔を真っ赤にしてたアレは嘘だったのか?

 罠にかかったウサギを殺すのを躊躇してたじゃないかよ。

 気のいい仲間だと思っていた友人らの吐き出す言葉が信じられなかった。

 俺は何を見てるんだ。

「お前ら……冗談だろ?」

 立ちふさがる俺の体をすり抜け、彼らは村へと戻っていった。

 声はやはり届かない。

 触れることも触れられることもない。

 追いかけるように村へと戻る。




「領主様の使いの方がいらしてる、お前達魔女は?」

「……」

「どうした?」

「魔女と呼ばれる娘は病を治療する為に数か月前に村を出たと」

「マーシュはどうした?」

「マーシュと他の連中は我々がこの手で……」

「娘以外皆?」

「生き残った者はいないはずです」

「そうか。領主様には魔女の行方を探さねばならぬ事を伝えねばな」

「申し訳ありません」

「お前達はよくやってくれた。労うようにとワインと上等な肉や魚を持ってきた。村の皆で食べるといい。今宵は宴といこうではないか」

「魔女を取り逃がした我々にそのような事をしていただけるのですか」

「数か月も前なのだろう?その情報すら知らなかったのはお前達の責任ではあるまい」

「寛大なお言葉ありがとうございます!!」



 使いで来ていた男は見覚えがある。

 領主様の補佐をしてるボルテ様だ、俺を含め奉公に来てる者には厳しい人だ。

 あんな労うような言葉なんか聞いた事がない。

 些細な失敗にも厳しい叱責と鞭が飛んでくる。

 領主様からのお言葉があったからなんだろうか?

 病の治療……ルルドが魔女だというのか?

 森の中で舞っていた姿が浮かぶ。

 木漏れ日が差し込む光の中で舞っていた姿は鈴の音と相まって神々しいものだった。

 それこそが魔女の力だったとでもいうのか?

 宴の支度をする皆が俺の前をすり抜けていく。

 相変わらず声は届かないし、触れることも出来ない。



 宴が始まる。

 飲み、喰らい、互いの戦果を讃えあう。

 何人殺した。

 逃げる娘を犯した。

 森で狩りをするように、逃げ惑う連中を弓で射殺した。

 そして……マーシュさんの最期を嘲笑う。

 俺の知ってる優しい仲間はいなかった。

 魔女の仲間を殺したんだと、魔女に魅入られた者に救いを与えたのだと、後悔している者など誰一人としていない。

 村の襲撃に加わらなかった者達はそれを聞き、褒め讃える。

 胸糞悪い、俺の知ってる奴らじゃない。

 こいつらは悪魔だ。

 幼子まで殺した事を、小さな悪魔を殺したと笑ってる。

 いつまで続くんだこの悪夢は……。



 浴びるように飲み騒いでいた男が突然倒れる。

「どうした?酔いが回ったか?」

「だらしねぇな!もっと飲めよ!」

 テーブルに突っ伏す者、床に倒れこむ者、宴を楽しんでいた者が一人、また一人と……静かになっていく。



「ようやく静かになったか。ここにいない村人の処理は?」

「宴の喧噪から離れていた者はすでに」

「打ち壊し、火をかけろ!一人残らず処理する。悲しいことだが、この村も魔女に襲われた」

「なんと!恐ろしい魔女が」

「明朝、生き残りがいないか確認して街へと戻る。魔女の事を報告せねばな」



 村が燃える。

 打ち壊し、火を放ったのはボルテだった。

 盗賊なんかいなかった。

 これも領主様の命令なのか?

「ボルテ様、おやめください!お願いです!」

 俺の叫びは届かない。

 生き残りがいないか確認する為、扉は打ち壊され、幼い子供も老人も皆火にかけられた。

 これを領主様が命じたというのか?

 こんな非道を、あの方が?



 生き残りがいない事を確認したボルテ達が村を出ようとした時、村の入口に少女の姿があった。

 あれは……ルルド!

「逃げろ!ルルド!」

 俺の声は聞こえていないのか?

「ルルド!!逃げてくれ!」

 今、俺を見た?

 見えてるのか?聞こえているなら逃げてくれ!



「貴方達は?」

「領主様の命で魔女狩りを行っている。この村も魔女に魅入られていた」

「魔女に?」

「娘は何処から来たのだ?」

「峠の先の村から」

「……ルルドか?」ボルテの顔にいやらしい笑みが浮かぶ。

「……領主様の命なのですね?」

「恐ろしい魔女に領民が誑かされてしまわないか心配されているのだ」

「恐ろしい魔女?」

「あぁ、お前の事だよ。……ルルド!」ボルテが抜いた剣がルルドを切り伏せた……ように見えた。

「剣で殺せると?」剣はルルドの着ていたマントで止まっていた。

 切り裂かれる事もなく、衝撃で痛みを感じている様子もない。

「やはり魔女か!斬りかかれ!捕らえる必要などない!!」

 ボルテの命令に従うように従者達が斬りかかる。

 が、そこにはルルドの姿はなかった。

「貴方には色々聞きたいことがあるのだけれど、質問には答えてもらえるのかしら?」

 いつの間にかボルテの後ろにいたルルドが、ボルテに微笑みかける。

 冷たい、殺気に満ちた微笑みだった。

「お前に聞く時間が残っていたらな!!」

 再びボルテの剣がルルドに振り下ろされる。

「じゃぁ、ゆっくりと聞かせてもらう事にするわ」

 ルルドを切り裂こうとしていた剣は溶け、ボルテの握る柄しか残っていない。

「な!?殺せ!魔女を生かすな!!」

 慌て従者に命令しているが、従者はすでに息絶えていた。

 ある者は切り刻まれ、ある者は焼け焦げ、何かに喰われるように手足を失いそのまま消えていった者も……ボルテが恐怖で動けなくなったのがわかる。

 俺自身も動くことが出来なくなっていたからだ。

 そしてボルテへの質問が淡々とした声で紡がれる。

 何故領主がルルドを魔女認定したのか?

 マーシュの村を襲ったのは何者か?

 村の生き残りは?

 この村の生き残りは?

 そんな質問にボルテが答えるわけがない。

「答えてはもらえないのかしら?聞く時間ならたっぷりとあるようだけど?」

「これから死ぬ者に答えてやる必要などあるものか」

「死ぬ?私が?一体に誰に殺されるのかしら?貴方は生きて戻れると思ってるのかしら?それともまだ仲間がいるのかしら?そういえば、そこに隠れてるのがいるわね」

 射貫くような瞳でこちらを見つめる。



 やはり俺の事が見えているのか?

「ルルド、俺は……」

 声をかけようとしたその瞬間、俺の後ろでもがくように倒れる男がいた。

「うっ!?」どんどん顔が真っ青になっていく。

 そしてそのまま息絶えたのがわかった。

「何をした!?魔女め!」

「魔女?私が?質問してるのは私よ。さぁ答えなさい。答えられるようにはしておいてあげるわ」

 そう言った瞬間、ボルテの右腕が爆ぜた。

「な!?」

「痛みはないでしょう?早く質問に答えてくれないかしら?」

「な、何をした?」

「質問をしてるのは私なの。何度言えばわかってもらえるのかしら?」

 そして左腕が切り裂かれる。

 両腕から凄まじい勢いで出血しているのがわかる。

「まやかしだ!」

「そのままじゃ痛みが無くても死んでしまうわね」

 炎の塊がボルテの両腕を包む。

 焼け焦げていく悪臭が漂う。

「これで大丈夫。さぁ、質問に答えて」

「な、何をした?」ルルドが言うように、ボルテに痛みを感じている素振りはない。

「痛みを感じないからまやかしと思うのなら、痛みを感じさせれば答えてくれるのかしら?」

「!?な?や、やめ、・・・・・・ぁあ!!!!!!」声にならない叫びを上げながらボルテは転げ回る。

「まやかしじゃないのはわかったかしら?さぁ、答えなさい」冷ややかな瞳のまま、ルルドは静かに命ずる。

「はぁはぁ・・・・・・す、全ては領主様の命だ」

「何故そんな命令を?」

「マーシュを恐れていたからだ!」

「お祖父様を?」

「領地も地位も失ったというのに、マーシュは新たに村を開拓して作り上げた。領主様はマーシュの復讐を恐れていた」

「領地?お祖父様はただの開拓民ではなかったの?」

「何も聞かされていなかったのか?マーシュは騎士だ、小さいが領地も持っていた」

「何故それを失ったのかしら?」

「マーシュが罪を犯したからだ」

「なら、恐れる必要なんてないはずだわ」

「……領主様が罪を着せた。マーシュはおとなしく謝罪し、従えばよかったんだ。身に覚えのない罪で裁かれる謂れはないが、領民を苦しめるわけにはいかない。そう言ってマーシュは領地も騎士の称号も捨てた。そのマーシュに付き従ったのがマーシュと共に村を開拓した連中だ。この村の連中はマーシュと共にかつての領地から旅立った。どんな理由があったのかは知らないが、マーシュと離れここに村を開拓した。街に近い分、ここは領主様の保護下にあったようなものだがな」

「それで、この村の人達に?」

「かつての領民に手は出せないだろうからな。そして、その狙いは成功したようだ。あとは愚かなこの村の連中を処分すればいいだけだ。病に倒れた孫が魔女だったと教会に報告すればあとはどうとでもなる」

「まだ報告してないということかしら?」

「魔女狩りを行い、魔女に報復され村人は全滅そういう筋書だ。マーシュが死ねば、病の娘など放っておいても死んでしまうだろうしな。領主様に命じられ、私はこの村の連中の始末に来ただけだ。マーシュも、マーシュの村の連中にも一切手は出していない!助けてくれ!」両腕を失い、這いまわるように、薄汚い笑みを浮かべルルドに近づく。

「……だそうよ?ジェイド、貴方はどうしたい?」

「!?」

「ジェイド?あいつが戻ってくるのはまだ先だったはずだ!」

「えぇ、この村を貴方達が襲ったのはもう何週間も前の話よ」

「?」何週間も前?

「ジェイドに何が起きたのか知らせたかっただけ」

 ルルドがそう呟いた瞬間、ボルテの身体が燃え上がる。

「あ、熱い……た、助けて!……!!!!」

 悲鳴を上げることもなく、ボルテの身体は灰塵と化した。

「ル、ルルド?これは?」

「ボルテが話した通りよ。この村にはもう誰もいない」

「君が助けた者はいないのか?」

「私がこの村に着いた時には、もう……」

「ボルテを殺したのか?」

「貴方がさっき見ていた連中なら殺してないわよ」

「!?さっき燃え上がったのは?」

「亡者は死なないもの」

「亡者?」

「ボルテに殺された者も、ボルテも、もう死んでいるのよ。死んだと理解はしていないでしょうけどね」

「村の皆も?」

「えぇ、私の村を襲った連中ね」

「親父は……」

「連中に殺された人達なら森に埋葬させてもらったわ」

「俺が見た親父は……」

「亡者の見てるモノを見れるようにしていただけよ。彼らはあんな苦しみを何度も味わう必要なんかないもの」

「ありがとう……と言うべきなのかな」

「私の村を襲った連中は何度も苦しんでるわよ?その中には貴方と親しかった者もいるかもしれないわね」

「……」

「私が最初にこの村に来た時、ボルテが村の生き残りと、私の村を襲った連中を処分しよとしていた」

「!?」

「何が起きているのか見て、聞かせてもらった。その間に死んだ者もいるわよ?」

「何故……助けてくれなかったんだ?」

「私の村を襲う事を知っていたのに、そのままにしていたのは彼らも同じじゃない。何故、彼らは私の村への襲撃を止めようとしてくれなかったのかしら?」

「……親父は止めようとしていた。そして、止めようとした皆は他の連中に……」

「ここに魂の牢獄を作ったのは私よ?貴方が見たものを私も見たわ。貴方のお父様や襲撃を止めようとしてくれた人達がいたのもわかったわよ。でも、そんな人達を殺して、殺そうとするのを見ないふりをした人達や、私の村を襲撃した人達を救う必要があったのかしら?」

「……」言葉が出てこない。誰が生き残っていたのかはわからない。でも、ルルドの村を襲った連中、親父やそれを止めようとした皆を殺した連中、見殺しにした連中だと、俺は知ってしまった。

「明日になれば亡者は同じ時を繰り返すだけ、襲撃したと、貴方のお父様や、この村の善意を殺したと思いながら、仲間同士で殺し合うのよ。何度でも繰り返せばいいわ」

 淡々と吐き捨てるような言葉だ。そこには憐憫の情など微塵も感じられない。

「森で舞っていたのは……」

「殺されてしまった人への鎮魂よ。嘆き苦しんだままの亡骸は埋葬させてもらったけど、彼らの魂は留まったままだったもの」

「埋葬した場所へ案内してくれないか」

「貴方がそれを望むなら喜んで。貴方のお父様は、私のお祖父様を守ろうとしてくれた人だったもの」

「ありがとう」

「それと……私を殺してもいいわよ?」

「!?何故そんな事をしなくちゃいけない?」

「貴方にとって大切な人が生き残っていたかもしれない。私はそれを見殺しにした。彼らの行動をこの牢獄で確認して、そのまま縛りつけ、殺し合いをさせている。貴方には私を殺してもいいだけの理由があるわ」

「馬鹿な事を言うな!親父が救おうとした人の孫娘を、殺したりなんか出来るはずがないだろ!」

「気が変わるような事があればいつでも殺してくれて構わないわよ。貴方を案内したら私は街に向かう。お祖父様の村を魔女の村なんかにはさせないし、領主の言い分も聞いておきたいしね」

「領主……エルク様は優しいお方だ。きっと何か理由が」

「そうね、私怨だって理由にはなるものね。どんな理由なのか聞かせてもらう事にするわよ。それと、貴方が渡された薬、飲まないようにね」

「まさか……」

「毒よ」

「そんな!?」

「私の言葉が信じられないのなら、体調が悪くなった時にでも飲んでみるのね。楽になれると思うわよ?そのまま目覚めないんだから」

「同行させてくれ!街まで案内する、領主様の館へも俺が一緒なら中に入る事も、エルク様に会ううのにも苦労しないはずだ」

「私は貴方に殺されるのは構わないけど、領主に殺されるつもりはないわよ?」

「俺も君を騙すつもりはないし、領主様が君に手出しするのを見逃すつもりはない」

「同行してどうするの?」

「俺の親父がマーシュさんを守ろうとした理由が知りたいだけだ。マーシュさんが騎士だったなんて話は俺だって知らなかった。この村で俺は生まれ育ったんだからな。それに……」

「それに?」

「……領主様の理由とやらが俺も知りたくなっただけだよ」

「あげないわよ?」

「何を?」

「復讐する機会よ」

「親父の敵討ちをすると?」

「しないの?」

「わからない。理由次第じゃないかな」

「正当だと思える理由なら構わないと?」

「それもわからない。ただ、領主様も元で村の為に学ばせてもらったことも多いんだよ。もう役立たせることは出来そうもないけどね」

「学んだことはいつか役に立つし、役に立たなかったとしても、学んだ時間から得るものがある。って、先生が言ってたわ」

「先生ってのは、君の病を治してくれた人かい?」先生と言う時、ルルドの表情が和らぐ、よほど信頼出来る人なんだろうな。

 俺にとっては、領主様がそういう人だったんだが……。

「そうよ。でも、先生に会ったら怒られてしまうでしょうね」

「何故だい?」

「先生は力を使わない生活をするようにと言っていたもの。……私を魔女だと思う?」

「魔女が鎮魂を行うなんて話は聞いたことがない。それに親父が信頼していたマーシュさんが魔女を匿っていたなんてのも信じられない」

「じゃあ、私の力は怖くないの?」

「力?……怖くないと言えば噓になるけど、俺をどうにかしようと思ってたなら、すぐに出来ただろ?それをしないって事は、多少なりとも信用してくれたんだと思いたいし、埋葬し鎮魂してくれたことには感謝してる。さぁ、遅くなる前に出発しよう、皆に祈りを捧げたら街へ向かおう」

「貴方じゃないわ!貴方のお父様を信用してるのよ。……行きましょう」少し照れたようにも見える。普通に会話してる分には年相応の女の子だな。

 この力は病に倒れる前から持っていたのだろうか?

 それとも、さっきの先生とやらから学んだことなのか?

 まぁどちらにせよ、ルルドと共に行動すれば見えなかったことも見えてくる気がする。

 領主様がボルテを重用していたのも事実だ。

 どんな仕事を任せていたのかは知らなかったが、こういう汚れ仕事が多かったんだろうか?

 領主様に会った時、俺はどんな決断をするんだろうか?

 森に向かう道中思い出すのは、初めてルルドを見たあの光景だった。

 木漏れ日の中、鈴の音の共に舞い踊る彼女の姿はただただ美しかった。

 ボルテと対峙していた時とは違う。

「ここよ」

「ルルドと会った場所じゃないか」

「鎮魂していたと言ったじゃない」

「そうだったな。皆が安らかに眠れるよう祈りを」村の皆の事を想い祈る。

「貴方の無事を喜んでるようね」

「!?わかるのか?」

「これで見れるかしら?」ルルドの言葉と共に皆の姿が見える。

 マーサおばさんが微笑む、親父がルルドを守るようにと俺の背中を叩く。

 痛みはない、でもそれは領主様の元へ向かう為、しっかりやれよ!と俺を送り出した時と同じものだった。

 皆が微笑む……俺はどうしたらいい?

 答える言葉はないまま、光に包まれるように皆の姿は消えていった。

「さぁ、街へと案内してちょうだい」ルルドの声に我にかえる。

「今のは?」

「まやかしじゃないわよ?」

「ありがとうルルド」

「別になにもしていないわ。見える素養が貴方にあっただけの話よ」

「素養?俺にも何か力があるのか?」

「多分ね。でも目覚めさせる方法は知らないわよ?先生から教わっていないもの」

「それが目覚めたら俺も異端として処分されるんだろうな」

「先生が言うには個性と同じだそうよ?狩りの得手不得手、学問の向き不向き、そういったものと変わらないと言っていたわ」

「そうなのか?」

「計算が得意な人はあっという間に答えを出すことが出来るわ。でも計算方法すら知らない人からすれば、それはどうして答えに辿り着けたかわからないでしょ?魔法や魔術で答えを知ると言われれば異端になるのかしら?」

「それは愚かなことだ」

「同じことよ。私が教わった事は素養が無ければ扱えないものだけではないもの。知らないから恐れるんでしょうね。だからといって、理解しようとしないでただ恐れ、どうにかしようとするのは愚か者のする事だわ」

「領主様は愚か者だと?」

「会えばわかるでしょうね」

「……そうだな」

 森を出て街へと向かう。

 すべては街についてからだ。

 それまで、この小さな復讐者を守らなくては……。






 Fin

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暗夜異聞 復讐者 ピート @peat_wizard

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