社会を作るサラリーマン

バブみ道日丿宮組

お題:気持ちいいサラリーマン 制限時間:15分

社会を作るサラリーマン

 なぜ仕事なんてものがあるのだろうか。

 人間だけのものじゃないだろうか。そんな概念で動く生物は、他の生物は生存本能に従い、狩りをする。移動をする。群れをなす。

 人間は、破壊、支配、略奪、洗脳と、不適合な生物だ。非合法ともいえる。

 サラリーマンという枠組みとして構成されたオレは洗脳された生物ともいえる。皆が同じ行動をし、同じことをする。会社名が違うからといって根本的な仕事が変わるわけじゃない。

 だというのに、この国は会社が多すぎる。

 密偵ということで内部の情報を獲得し続けてるオレは、その違いが全くわからない。

 だが、明らかに矛盾した業務、逸脱した勤務時間、勤務内容の場所はわかった。

 それらをネットで晒し上げるのは非常に気持ちのいいものだ。こちらに被害はない。

「……ふぅ」

 名前、顔が複数あるというのは中々役に立つものだ。

「次はあそこの中小企業を壊滅させよう」

「いいかもね、自殺問題が囁かれてる会社だし」

「そうね、だったら私がいく」

 オレという人間は10人いる。20人になるときもある。

 統率者はオレという自分だが、互いの能力は異なる。持ってる性能を活かし、人間ではないことをする。他の生物と同じレベルに人間も落とす。

「このオフィスビルも今じゃ生物たちの繁殖場となってるけど、大型生物はさすがに生態が保てないわ」

「大丈夫。もうすぐとある県から人間はいなくなる。そこをもともと生息してた生物に返してやろう」

「なるほど、そうすれば他の生物も元に戻ろうとするかも」

 人間が壊したものが戻るには何百年もかかるが、オレには関係のないこと。

「まさか創設者がオレがこんな人間を追いやる進化をするとは思いはしなかっただろうな」

「どうだろ? 大金を叩いたあの人はすごく嬉しそうにしてたわ」

「今もこのオフィスの屋上で隠居してるじゃない。文句、身体に異常があればアラートがなる」

 そうだなと、自分の顔を変える。

「データ改ざん終わった。あとはお前が侵入して盗んで仕込むだけだ」

「かわいいこは手を加えてもいい?」

「ある程度バレないようにな。オレが増えてもオレがオレを認識するのが少し大変になるだけだしな」

 データが上書きされ、狙った業者からのスカウトメールが届くのがパソコンに見えた。

「ほら、あとはお前が行くだけだ。気持ちのいい仕事をしてこい」

「人間はどこまで落ちるかしら?」

「もともと出過ぎたんだ。肉食生物に最低限襲われるぐらいのレベルまで下がってもらおう」

 管理される側に落ちて、終わってもらおう。

 人間なんてつまらない生物は、この地球に悪影響しか与えない。

「さぁビジネスの時間だ」

 オレは、オレたちはそれぞれが起動音とともにエレベーターへ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

社会を作るサラリーマン バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る