色分けスキル

バブみ道日丿宮組

お題:緑のスキル 制限時間:15分

色分けスキル

 第六感といえば聞こえはいいが、ただの超能力。しかも突然変異種という枠組みの生物の力だ。

 それは第三次世界大戦の影響で発生したアイスエイジによって滅びかけた人間が生き抜くために得たスキル。むしろ生まれるために発生した地球の反撃ともいえる。

 地球の攻撃で多くの人間や他の動物は死んだ。

 滅びゆく定めだったと生き残った人間たちはいう。

 世界を滅びに向かわせたのは他でもない人間自身であるから当然の報いを受けたのだ、と。

 というわけで、生き残った大人たちは二度とそんなことが起こらないように、ごく一部の人間だけが暮らすテリトリーを設けて、全てが変わった地球……外世界に進出できないようにした。

 もちろん、資材を得るためにごく一部の人間が出ることはあるけれど、それは学校で学んだ技術、そしてそのスキルが認められた者たちだけだ。全員が出れるわけじゃない。

 その理由は簡単だ。

 生き残った人間でなくても、猿、狼、ワニ、サメなどの動物も同じようにスキルを使えるから。何も知らない人間がいけば、そのまま生命を落とすこと間違いなし。

 実際に最初の頃……テリトリーがなかった時代は、何人もの人間が犠牲になったという。

 だからこそ、学校で僕たちは突然変異種として得たスキルをいかにして使うかを学んでるのだ。

「次、お前がやってみろ」

「うーん、僕のはあまりこういうのには役に立たないかと」

 担任が殺気ついた視線を送ってくるので、しかたなく目標である人形の模型に向かってスキルを使用する。あっという間に模型は、植物に覆われた。

 これが僕の力ーー緑のスキルと呼ばれる自然に干渉する力だ。

「よくやった。次ーー」

 担任に呼ばれるクラスメイトは、次々に氷を飛ばしたり、火を放ったり、見えない何かを飛ばしたりと行ってく。

 スキルは様々だ。

 色分けでいえば、緑は生活のため、赤は外の調査のため、青は生存のため、紫はコミュニケーションのためと、スキルはわけられてる。

 だからこそ、僕のスキルは外向けではないのだけど、外の世界を活性化させるために使わなければいけないらしい。

 ほんと……大昔の人間はなんてことをしてくれたんだと思う。

 緑豊かな大地を取り戻すのが宿命である。

 それが僕の卒業後の仕事先……。

 ため息は何度ついたかもう覚えてない。

 やりたいことはあるにはあったのだけど、そうもいってられないのが今の御時世というやつだ。

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色分けスキル バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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