子どものいたずら

バブみ道日丿宮組

お題:俺は償い 制限時間:15分

子どものいたずら

 償いが始まったのは、高校生になってから。

 彼女にしてきたことがただのいじめでなく、とんでもない犯罪。俺はそのことに気づけなかった。病名をきちんと理解してれば、きっと今みたいな状態にならなかった。

「またそんな顔してる」

「いいじゃないかどんな顔をしても」

 俺は償いのために彼女のそばにいることに決めた。

 一生をかけて償う、その気持ちをこめて告白をした。

 彼女は許してくれた。

 そして自分の家族がいなくなったことから、一緒になって欲しいと言われ俺は高校生卒業後結婚した。

「私は十分に幸せだから、子どもの頃のいたずらなんて気にしなくていいよ」

 そういう彼女は病気の影響と俺のせいで車椅子が必要になってしまった。彼女の家族もその病気が原因で一族が亡くなった。

「でも、歩けなくなったのは俺が突き飛ばしたせいでもあるんだろ?」

「うーん。どうだろうね。確かに痛かったよ?」

 やっぱり。

「でもね、そのおかげで私たちは結ばれたんだよ。私は一人じゃなくなった」

 彼女の手が俺の手をにぎる。

「あんなに反対が多かったのに無理やり婚姻届出すんだものびっくりしちゃった」

「……俺の家族は偏見だらけだからな。病気持ちなんて呼びやがって許せなかったんだ」

「そっか。でも、今は私も家族として見てくれてるよ」

 そのことは素直に嬉しかった。

 最初は無理やり、婚姻届をなかったことにしようとかまさに彼女を亡き者にしようと親は酷かった。けれど、それでも優しく微笑む彼女を見て親は折れた。

 俺が真剣なこともあったのだろうけど、やっぱり病気と一生懸命戦ってる彼女に心を打たれたんだと思う。

「俺はいい父親になれるかな」

「どうだろ。きっと私と同じ病気を受け継いじゃうから、そのときはーー」

 守ってあげてね。

 彼女の言葉が胸の奥で響いた。

 そのとき、彼女はいないかもしれない。そんなのは無理。今の俺は子どもの頃と違って、強くない。やんちゃなんかできない。

「そのときなんかはこない。大丈夫家族三人で生きるんだ」

 あと、

「子どもが産まれたら、母さんたちが一緒に住まないかって話がでてる」

「お義母さんが? ふふ孫の顔がはやくみたいのかしらね」

「大学もあるから、育児が大変だろうからってさ」

 彼女の病気は国が特殊指定したもの。

 だから、彼女はいろんな制約が自分自身にある反面、お金の融通などが効く。そのおかげもあって大学生活は同棲できてる。

 社会にでたら、俺は自分のお金で彼女に愛を贈りたい。

 彼女は子どもが愛の結晶だよって言ってくれるけど、俺にはまだ心にしこりのようなものが残り続けてる。

 忘れられないことは忘れられないって、記憶が許してくれない。

「大学は休学することになるけど、ちゃんといってね?」

「わかってる。せっかく同じ大学に入れたのに、俺だけ卒業できないのは恥ずかしいしな」

 うんうんと彼女は頷いた。

 そして眠そうなかおをしたので、

「そろそろ寝ないと発作が起きそうか?」

 彼女をのせた車椅子をそっとベッドルームへと運び、寝かしつけた。

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子どものいたずら バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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