違う吸血鬼

バブみ道日丿宮組

お題:苦いキス 制限時間:15分

違う吸血鬼

 人間であることをやめた僕は、死体からエネルギーを吸収しなくてはならなくなった。

 俗に言う吸血鬼に近い存在だ。

「まだ抵抗あるの?」

 僕の主である彼女はうめき声をあげる人間の血を吸ってた。彼女は正真正銘吸血鬼だ。

「それは当然僕は人間だったんだから、死体にキスをする趣味はないよ」

「ふふ、わっちのように血を吸えたらよかったのだけど、うまく人間というのは吸血鬼になれないみたいね」

 だんだんと血を吸われた人間はカスになってく。それは水分の抜けた砂漠のような乾き方。彼女の吸血力は吸血鬼の中でも一品だ。

 下僕である配下に餌を作ることができるのだから。他の吸血鬼はできないのがほとんどだ。食欲を抑えきれず肉体まで食してしまうもの。身体を吸えないものとわかると破壊してしまうもの。

 そう……吸血鬼はかなり欲望が強い。

 そんな吸血鬼に睨まれては人間が生きてくフィールドは少なくなってく。包囲網というやつだ。今いる廃墟ビルはまさに人間が逃げ込んだ場所。いや耐えきれなくなって外に出ていったというのかもしれない。

「はい、ちゃんと食べてね」

 僕の前に投げ捨てれたのは、死体。

 僕が食べるべき餌だ。食べなければ僕が消滅してしまう。

「もう諦めてしまったら? 甘いキスならわっちとしたじゃない?」

 僕が彼女から離れられない理由はそこにある。

 僕も欲望が強くなってしまった。人間のときに存在してた理性のリミットが小さくなってしまってる。彼女を求めてしまったのも僕だ。

 あの甘いエキスを味わえるならば、人間であることは捨てるべきなのかもしれない。

「あら、今日は素直なのね」

 彼女が優しく僕をなでてくれる。

「今日は久しぶりだから、わっちの身体に触れ合うことを許すわ」

 僕はその声に反応してしまう。死体のエネルギーを必要以上にもとめてしまう。

「大丈夫、わっちは逃げたりしない。君の友だちのように捨てたりしないわ」

 僕が人間を捨てた日ーーそれは食事収集としてフィールドから吸血鬼に隠れて探してた時。吸血鬼である彼女にあった瞬間仲間であった友だちは僕を罠にはめて吸血鬼の前に差し出した。

 喚く僕が彼女の趣味あったのか、彼女の何かを満たしたのか、僕は彼女の甘いキスを受けて下僕となった。

 そして暴走した僕は、友だちを殺し苦いキスを彼らにしてしまった。

 餌となっていない僕がするキスは灰化させる。

 今でも悲鳴が忘れられない。

「僕はあなたの下僕でいいのかな」

「大丈夫、安心しなさい。わっちはあなたを手放さないから」


 ふふと笑う彼女の笑顔は、とても美しくて人間をやめてよかったとさえ感じてしまうほどだった。

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違う吸血鬼 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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