普通のない世界

バブみ道日丿宮組

お題:アブノーマルな、と彼は言った 制限時間:15分

普通のない世界

 普通とはいったいなんなのだろうか。常識とはいったいなんであろうか。

 世間体で決まったことが普通なのか?

 では昔からあるしきたりは常識にならないのか?

 彼は『アブノーマルな祭り』で頼むと言ってた。

 ならば、執事である私は普通という固定概念を排除しなければならない。

 ただ貴婦人や、貴人が多くくる祭りに全裸パーティーのような危なげは危険だ。彼が異常者と勘違いされてしまう。

 学校生活でも彼は目立つ。

 普通ではないことを普通とするが心情だから、そう彼はいつも言う。

 無理難題と自分で決めてるようなものと彼は勉強やスポーツなど他の学友がすることはしない。代わりにアラビア語、インドネシア語といった海外の言葉を勉強してる。

 その言葉で解答用紙を埋めるものだから、教師は毎度のこと文句を言ってくる。

 日本語でかけ、と。

 当然彼が答える言葉は変わらない。


 ーー日本語で回答しろと一言も書いてない。


 書いてなければ別に何で答えても一緒だろうと彼は笑う。

 読めない教師がおかしい。

『教壇に立つ人ならば知っておくべき知識ではないのか?』

 そんな異論さえ彼は唱える。

 だからこそ、普通にしろ、常識を考えろと私も含めて教師に怒られるのがいつものこと。

 私は知ってる。私だからこそ知ってる。彼が答えた言葉をきっちりと訳すと間違いがどこにもないということを。彼は普通でないことを普通にする。周りが普通ではないと楽しそうにする。

 彼の父であり、私のご主人様である方は、そんな彼を評価してる。

『普通という枠組みにいる人は上に立つべきでない。教わってないことを知ってるからこそ、普通が成り立つ。アタリマエのことができるから普通。そこから先ができなければ2流だ』

 彼の護身を守る私は、ご主人様に評価されてる。

『あいつについていける執事もまた普通ではいけない』、と私は愛された。

 そして彼の将来を頼まれた。

 他のご令嬢よりも私の評価が上だと仰ってくれた。

 とても光栄だった。

 捨てられてた普通じゃない私が貴族の一員になれるなんて考えもしなかった。ゴミのように毎日見られる学校生活も悪くない普通だと感じるようにもなった。

 彼はご主人様と同じように私を大切にしてくれる。

 触ると壊れてしまうガラスに触れてしまうようにそっと優しく。

 それが彼の普通部分かもしれない。男性という女性に対する愛。そこだけは普通。やりかたは……普通ではなかったけど、私は満足してる。

 だから、彼の行う祭りを普通ではないアブノーマルなものにしあげなければならない。

「では、この紙に書いたことで可能なものを調べ上げてください」

 アイディアをまとめあげた私は、執事長に書類を渡した。

「わかりました。調べてまいります。本日中でよろしいですね?」

「はい、できるだけ普通じゃない速さでお願いします」

 その言葉で執事長は目の前から消えた。

 これが普通じゃない私の世界。

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