姉妹愛
バブみ道日丿宮組
お題:とんでもない悪意 制限時間:15分
姉妹愛
人はどこから人であって、どこからが人じゃないのだろう。
私の姉は日頃から動物の死骸を持ち帰り解剖してる。
祖母が祭りごとの素材作りにつかってた地下室で今もなお作業してる。
「面白いの?」
「生命って死んでからも動くんだよ?」
姉に聞いても理解できないワードが飛び出し、その物体を見せられる。
人間の心臓だというものが培養液の中で動いてる。
そのうち、ネズミの身体を与えるという。
「人間って誰か殺したの?」
「殺したら心臓が無事じゃないでしょ? わたしってほら学校じゃ人気あるじゃない?」
そのワードでなんとなく察した。
私たちが通ってる学校で起きてる連続失踪事件。その犯人がまさしく姉なのだろう。証拠はない。身体は地下室を見ても衣服は当然のことながら、DNAがそもそも残ってるか怪しい。
姉の言う心臓はもはや人間の心臓とは違う。
全く新しい雰囲気がある。
「これ大丈夫なの? 襲ってこない?」
「心臓だけならね。身体をあげたら襲ってくるかも」
笑えない冗談だ。
狂気に堕ちた姉が作った生き物が化物になる? すぐさまやめさせるべきだ。
「やめてほしいって顔してるね?」
「う、うん、お姉ちゃん。犯罪だよ、人殺し、動物だって生きてるんだよ?」
ふふと姉は笑う。
「蘇るから大丈夫になるよ」
姉は地下室に無理やりおいたパソコンの画面をつけて、私にみせてきた。
「今までの情報は全てここにある。このパターン通りにすれば、同じ人間、動物が産まれる。ま、感情、心が全く同じになるかは神様しかわからないかな」
「どうしてこんなことするの……?」
肩越しに振り返る姉の顔はどこか寂しげだった。
「だって、あなたがお母さんたちが死んでからとっても悲しそうだったじゃない。だったら、唯一残ったわたしがなんとかしたいって思ったの」
姉の手が優しく私を撫でた。
「悪意は悪だと思うから悪なの」
これを見てと、姉はさらにPCから何かのファイルを開いた。
「わたしたちの家がどうして財産が減らないんだと思う?」
「これが……答えなの?」
うんと姉は頷いた。
見せられたファイルは、国連からの書類だった。
資金援助をする代わりに、研究を完成させよというものだった。
「……いつから?」
「おばあちゃんが死んでからかな。あそこに国の偉い人がいたんだ。で、私のやってることに興味を持ってお金をかけてくれた」
そして事件の隠蔽までもを行ってる。
「だから、わたしは捕まらないし悪意じゃないんだよ。限りなく善意に近い悪意かな」
「……わからないよ」
「そうだね。わたしたち姉妹であっても、血の混じり方が違うから」
私はお父さんとお母さんから産まれて、姉はお父さんとお婆ちゃんから産まれた。
「心配しないでもいいよ。捕まるときは私一人。あなたには莫大な資金が残る」
「私は一人は嫌だよ? お姉ちゃんとずっといたい」
「うん、わかってる」
私はとんでもない悪意を隠してるのかもしれない。けれど、こうしなければ生きれないというのならばこの運命を受け入れるしかない。
だって、私も姉と同じ血が半分は流れてるのだもの。
「ネズミの手動いたよ?」
姉妹愛 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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