修学旅行
バブみ道日丿宮組
お題:怪しい水 制限時間:15分
修学旅行
旅には都市伝説や、物語は必須であり、語り部ももちろんいなきゃならない。
僕らはそう修学旅行生。
行く場所は決められてるが行ってはいけない場所は決められてない。
「山登ってみるか」
「山ね……」
班長が見る先は山というかそびえ立つ崖というぐらいの険しい道が続いてた。
「さすがにこの服じゃ汚れない?」
「女子はジャージ着れば問題なしだろ。男子は気合で」
女子のパンチラが見えないのは残念だが怪我のリスクを考えると致し方ない。
「僕はスカートでもいいかな」
「お前のは需要がないだろ?」
副班長たる僕になんという文句を!
「なんだと! 僕も女子に入るんだ!」
「じゃぁジャージ履いておけ」
そう言われると大人しくそうせざるを得なくなった。
うん、見られたら困る下着じゃないけど、やっぱり嫌だし。
「よし、まずは登れそうなあの獣道っぽいところだな。なんか石っぽいのが見えるから、元々利用者がいるのかもしれん」
班長は班全員の顔を見渡すと、先頭で歩く。
僕らはそれに続く。
女子3人、男子2人という変わった班になったのは僕のせいでもある。
未だに幼児体型で男子か女子かわからない。
そういった意味でモルモットのように見られてる。
だから、あまりそういう扱いをしない班を選んだ結果こうなった。
そう……僕以外は、都市伝説部というマイナーな部活メンバーで組んだ班に。おかげで僕も都市伝説のように見られてるがモルモットのように可愛がられるよりはマシだった。
だって、伝説の生物として見られるんだもの。
「早速家っぽいのが見えてきたな。廃墟か?」
「うーん、たぶんそうだな。電線は引かれてないし、ガラスも外れてる」
男子2人は足早に建物内に侵入してく。
残された僕ら女子グループは外観を調査……するらしい。
主に危険なのは男子が受け持って、女子は比較的安全というのがこの部の特徴だと教えられた。ならば、そのルールに従うのが団体行動の必須。
「なんか家から水が垂れてるね」
「雨降ってないよね?」
女子2人は家の隅っこにある蛇口のようにも見えなくもない怪しい筒から水が流れてるのに近づいてく。
「色は茶色っぽい赤」
「カビ……かね?」
「血とかじゃないの?」
と僕は2人の後ろから声をかける。
「血……ねぇ。となると、この中から流れてきてるのかしら」
「男子たちをとりあえず待ちましょう」
頷いて何枚か写真を取り、すぐに降りられるよう登ってきた場所に戻ると、ほどなくして男子たちが戻ってきた。
「こりゃ事故物件だな」
「事件があった可能性があるな」
二人共危険なことを口走ってるのにとても笑顔だ。
「よし、降りて警察に連絡だな。何枚か写真を撮ったし、何か聞けるかもしれない」
班長の伝令で、皆が山を下る。
あとになって知らされるが、数日前に殺人事件が起こった場所が僕たちが見つけた廃屋であったらしい。
班長は都市伝説ってのはだいたいこんなものだと、拍子抜けだと嘆いてた。
いや、事件なんだから驚こうよと、僕は不満になりながらも話をきくのであった。
修学旅行 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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