歯の病気
バブみ道日丿宮組
お題:昼の医者 制限時間:15分
歯の病気
病気にかかると医者にみてもらわないといけないのは一般的。
私の場合は、生まれ持った新種の病気のせいで歯を1ヶ月おきに新しい歯にしなくちゃいけない。
『いつもきれいな歯だよね』
クラスメイトからはそんな皮肉を言われ、
『授業もサボれるし、羨ましい』
とも思われる。
私自身がそうしたいわけじゃなく、国から特別な被験者として扱われてるだけにすぎない。ようはモルモットと同じ。
学校だってちゃんと全部の授業出たいし、試験だって受けたい。遊んでもいたい。
けれど、
「ほら、お迎えがきたぞ」
授業中であっても、休日中であっても、友だちと遊びに出ていても迎えはどこからでもやってくる。
決まった経過時間、1ヶ月たったその日に。
私がいる場所は、放さず持ち歩くように言われた携帯端末でわかるらしい。そうでなくても監視者はいつもそばにいるからあまり意味がないように思うけど、もしもの場合に備えてというやつだね。
歯でそんなことになるのかと思うけど、病気が病気で原因が不明だからってのもあるらしい。
ーー歯を溶かす唾液。
どんな金属でも溶かせるのに、口の中が一切溶けない謎の私。
危険人物に思われてもしかたないかな。
風邪なんか引いたら特注のマスクつけさせられるし、自由がほんとない。
「はい、行ってきます」
私が席をたち、廊下にでると少しだけ教室がざわつく。
みんなも慣れてきたみたいで、私が出る一瞬は休憩時間のようでリフレッシュされるみたい。
「ほら、お前たち! まだ授業中だぞ、静かにしなさい!」
はーいというクラスメイトの声を廊下に出て、扉で遮る。
「本日は国の支援者の方も拝見致します」
「そうですか……」
歯の手術なんて見て、何が楽しいんだろうか。いや……実験動物であるモルモットがどう進化を遂げてるのか興味があるのかもしれない。
日本の未来のためにとか、世界平和のためにーとか、政治を動かすためにとかそういうの。
「今日は歯のサンプルの他、肺もサンプルとして撮影します」
「はい、わかりました」
私は静かに国の監視者のあとをくっつく。
これが私の一般的な生活だから。
歯の病気 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます