復讐機
バブみ道日丿宮組
お題:孤独な犯人 制限時間:15分
復讐機
生まれが同じなら思考も同じ。
ただターゲットの首のとり方が違う。
「……」
急所をえぐり、それを食す妹と違って私には死体を貪る趣味はない。
やるなら、
「ね? クラスメイトだよね? な、なんで?」
生きたまま、少しずつ生き血を吸う方がいい。
「お姉ちゃん、後片付け大変なんだから廊下で食べることやめてくれない?」
「ん……忘れてた」
口元を拭いて、見渡せば確かにバラバラと骨とかが散らかってる。
「残飯を食べるのも好きだけど、お姉ちゃんのやり方ちょっと汚いよ?」
そうなのかな。
「冷え切ってきちんと味付けしないと魚も肉も美味しくないでしょ?」
「何もかけない人もいる」
考えるようにしながら、妹はスクールバッグを玄関におくと、手慣れた様子でまだ肉が残ってる骨を回収してく。
「今日は焼肉ができそう……なボリュームはあるかな」
「お願いね」
その間に廊下を拭いておいてと渡される掃除用具の数々。
一体どこで手に入れたかわからない名称の数々は、妹が外でハンティングする際に知り合った仲間から支援されたものらしい。
「……はぁ」
失ってく生命を感じながら生き血を吸ってたせいか、ここまで血が飛び散るとはいつも忘れてしまう。穴という穴から吹き出る噴水のような生き物は他にいない。
しかも仲良くなった友だちというのが重大で、さらに食欲をそそらせる。
「あまりクラスメイトだけを狙ってもバレちゃうよ?」
「そう……? 私わりと人気だからあまり噂されないよ」
「いやいやあたし学校で行方不明者続出してるから注意されるように言われたよ!?」
あっ焦げるという声が聞こえた。
こちらに視線を向けてる場合じゃないだろうに。
さて飛び散った血の痕跡を消そう。
作業は数分で終わった。
手慣れたもので、あっけいないもの。
お母さんを襲った親戚を磔にした時のが時間がかかった。
「……」
あの時襲われたお母さんは未だ病院で眠る毎日。
私たちは、復讐を行ってからおかしくなってしまった。
人というエネルギーを摂取しなければ、狂気に落ちそうになる。
「お姉ちゃん? 終わった? お、きれいになったね」
満足そうに居間から妹が出てきた。
「そろそろお姉ちゃんも外の人を襲う時期が来たと思う」
「親戚の残りは?」
「うーん、一応めどはつけてるけど足取りはまだ情報が入ってこないんだよね」
そう。逃げられると思ってるのだろうか。
お父さんを突き落とし、お母さんまでも襲おうとした血の一族は。
「大丈夫、殺し方はもう考えてあるから」
嬉しそうに笑う妹の手を取りながら、居間へ入ると美味しそうなお肉の匂いがした。
水分と生肉をかじっただけだからより一層美味しそうに見える。
「よくできました」
たった一人の肉親。
孤独じゃなくてよかった。
でもーー
復讐機 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます