憲法の意味
バブみ道日丿宮組
お題:信用のない王子 制限時間:15分
憲法の意味
憲法は人が守るからこそ意味がある。守られない憲法は作った人の理を破壊する。その憲法も時が過ぎればゴミとは言わないが少しずつひび割れて使えない法へと変わってく。
サイバー問題、人権問題、様々な進化が人を守るために必要になる。
だというのに、この国の王子は憲法を破壊し始めた。
そのおかげで国は荒れ放題になった。やりたい放題。犯罪は許される限り発生した。警察も救急車も私用のために動くがそれも妨害される。
やがて人が少なくなると、不思議と犯罪は少なくなった。
なぜか狩るものと狩られるものの数が大幅に変化したからだ。
食物連鎖。
獲物がなくなれば、滅びるしか人もない。
それを知ってたからか、王子は王宮でその様子をほくそ笑んでた。
何を考えてるかわけがわからない。
国民を第一に考えるのが王であるものの勤めであり、憲法でもあるのに。
しかしながら、復興しつつある国は憲法がないのに暗黙の了解で犯罪はなくなった。見えないところでは行われてるが、表立って騒ぎをするものはいなくなった。
人を狩り尽くせば自分たちが生きれない。そのことを悪党も理解してる。そして貨物が送られてくるものを襲っても自分たちにはそれをどうにか金や食べ物にかえることはできない。
プロだからプロの仕事ができる。
「僕を殺したいかい?」
王座に兵士も連れていない王子はいう。
「殺してももはや秩序がある。失ったものはどうあがいてもかえってこない」
それでも意味のない王に生きる資格はあるのだろうか。
「君だって見てきたじゃないか。憲法があるから逆賊として殺された君の両親、僕の家来たちを」
「……」
わかってる。
王がやることを見逃したのは自分でもある。
王宮の警備は針の上を串刺しにならずに歩ける人しか侵入できない。そのために王子の周りにいる召使は彼に従った。
ここが安全だとわかってたからーー国の人が滅びかけても見て見ぬふりをした。家族も王宮に住まわせてもらってることもある。
人の盾……そんなものに近い。
「籠城生活だって楽しかったろ? 無駄に王宮内を整備したかいはあったよ」
「これで平和になったからいいというの?」
「平和なんてどこにもないよ。これが人間ってやつの本心だ。ルールなんてなくても勝手に自分たちで作り上げる」
国を見ていないようで見てる。
信用できないはずなのに、やること全てがこの王に導かれた。
「反乱分子も今じゃ僕の家来のように外で動いてくれる」
「なぜ?」
「僕が憲法を再び作った際に見逃してもらえるようにさ」
私は鳥肌が立つのをやめれなかった。
「壊したのをまた作るのですか」
「あぁ実験だよ。あるのとないのじゃ、どっちがほんとうにいいのかをね」
私は声を失った。
自分の喉笛にナイフを突き刺すことしかできなかった。
でも、死ぬことは許されなかった。
「君は全てを見る役目なんだよ」
王は優しくて冷たい瞳を向けてくる。
逃さないと。
憲法の意味 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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