才能と知恵の違いについて考える
バブみ道日丿宮組
お題:アブノーマルな天井 制限時間:15分
才能と知恵の違いについて考える
才能が咲くとはいったいどういうことなのだろうか?
大人になればなるほど天井が近づく、そして限界が見えてくる。
兄はよくそんな愚痴をこぼす。
市大会、県大会と優勝を飾ってる兄がなぜ限界なんて言葉を作るのかわからない。私にはない才能を咲かせてるのに。
「俺のは才能じゃなくてただの知恵だから」
決まって兄はそういう。そして加えるならば、
「知識を獲れば、お前のほうがもっと上を目指せる」
と頭を乱暴に撫で回してくる。
私には理解できない発想だった。
勉強は確かに頑張って学園トップになったりならなかったりする。けれど、兄は1位から一度たりと落ちたことはないし、剣道部で負けた姿を見たこともない。
私は負けたり勝ったりでとてもじゃないけど、兄のようになれるような気がしない。
「家業を手伝えば、剣道なんて遊びに過ぎないだろ?」
その意見だけはわからないでもなかった。
日本刀を扱い、魔を払う役目では生命をかけ猛獣たちを仕留める。いわばライトノベルでの巫女や陰陽師の仕事が私たちの宿命であり、就職先。
そんな世界に身をおいてるから、剣道のようにルールがあれば、遊びに近い。
生命をかけたアブノーマルな世界が私たちの日常なのだから、兄のいうことは正しい。
でも……だからって、なんでも知恵で才能を超えることができるの? それは才能というのが正しいんじゃないかって未だに私は迷う。
私はまだ知恵として身が追いついていないの?
「……」
3つの頭を持つ猛犬の首を全てかっ切ると、動きを止めた。激しい動きをした怪物であったが犬の怨念ということもあり、動きはすごくわかりやすかった。
「お嬢ちゃん、また腕あげたじゃないか?」
「そうですか? ただ単調な動きしかしてこなかったのでパターン化しただけです」
「はは、さすがあの方の妹君だ。おいお前ら!」
私を倒した猛犬の怪物を一族の仲間たちが解体作業に移る。青い炎に包まれて天に還ってく。
「……」
いつになったら、兄に追いつけるのだろうか。
私にとっては兄は天井のない天井。
普通ではないアブノーマルな天井を持つ人だ。
「お嬢ちゃんには剣の才能があるな」
「そうですか?」
「あぁ俊敏さがあの方とは違う」
そう言われて日本刀を見ても、違いがわからない。
今度兄にも見てもらおうかなと、空を見上げた。
才能と知恵の違いについて考える バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます