力を動物に例えるならば?
バブみ道日丿宮組
お題:見憶えのあるゴリラ 制限時間:15分
力を動物に例えるならば?
駅前で人が吹き飛ぶのが見えた。
「あぁ……」
いつかはやるんじゃないかと思って人物がその中心で暴れてた。
うん、彼女だ。
「どうしてこんなことに?」
「あ、あぁ、なんかセクハラされたからっていう話だけど……」
過剰防衛過ぎないかと口を濁らせたのは、彼女がこちらを向いて接近したせいだな。
「暴力はいけないって言っただろ?」
「おしり触られたら怒らない女子はいないの!」
やれやれ……やっかいな親戚を預かったものだ。
「何はともあれ、この場から撤収するぞ」
ちょっとと戸惑う彼女の手を引っ張り、家へUターン。
大学にいこうとしたが、今日はいけないかもしれない。
「さて、とりあえずお前の学校には熱で休むと連絡したからな」
ぶつぶつ言ってた彼女であるが、家に帰り制服から私服に着替えるとだいぶおとなしくなった。外でもこんなふうにお淑やかでいてくれれば……問題解決なんだがね。
「あ、ありがとう」
「腕力は父親譲りだな。少しは自重ってことを覚えなきゃ死人がでるぞ」
と頭を軽くつつく。
「わ、わかってる。け、けど、お兄さんだって、私が違う人に触られたらいい想いはしないでしょ?」
「まぁ……身内がへんな男に追い掛け回されるのは嫌かな」
どこか嬉しそうに顔を赤らめる彼女だが、返答を何か間違えたか?
「しかし、この奇妙な同棲もバレたらまずいからな。カバーできる範囲で……いや暴れないでくれよ」
「うん……」
はぁ……ワールドチャンピオンのボクサーである彼女の父親は今や世界で有名。ワンパンKOできない相手はいないと畏怖される人物でもある。
そんな父親に育てられたからか、彼女もゴリラのような破壊力を持つ拳を持つ。小さい頃に殴られた記憶があるが……あれはとても小学生が打てるパンチではなかったな。骨が折れる経験はあの時がはじめてだ。
「今日は大人しく家で反省しておくこと、いいな?」
「う、うん、え、え、お兄さん、学校行っちゃうの?」
「そりゃ大学は高校と違って、カリキュラム制だからな。1つ休んだとして他を休まなきゃ問題ない」
なぜ不満そうに頬を膨らませる。
「なるべくはやく帰るから待て。話題になる原因もついでに取り除いてくるからさ」
「ごめんなさい……」
自分がしたことの重大さを思い出したのかしゅんとなった。
こっちが悪い気分になったので、
「冷蔵庫にプリン買ってあるから、勝手に食べていいからな」
ぱぁと花が咲くみたいに笑みを浮かべるのだから、女性というのはよくわからない。
「じゃぁ、いってくる」
玄関までついてくると扉が閉まるまで彼女は手を振ってくれた。
「……ふぅ」
大学のつてを使ってまずはマスゴミにつながる情報を削除してもらうか。あとは警察か。これもつてでもみ消そう。
なに親戚にゴリラがいるように、こちらにも牙が鋭いサーベルタイガーがいるんでね。利用するものは利用させてもらうよ。
全ては俺が大学生活を無事に送れるようにな。
力を動物に例えるならば? バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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