バブみ道日丿宮組

お題:誰かと雨 制限時間:15分

 雨に降られるのは好きだった。

 汚い部分も、キレイな部分もまとめて流してくれるから。

「……もう死んだ?」

 倒した人物に問いかけをし、視線を向ける。

 そこには綺麗に倒れた奇形な人が倒れてるが、まだ身体を変化させようと血流を巡らせてた。

「あたしに殺されたかったんでしょ? なら、大人しく死んでくれないかな」

 刀を頭に突き刺す。

 雨水のおかげで血がこびり付いても流れてく。

 それでも動きは止めない。

 これが人間と人間をやめたものの違い。

「私も人間じゃないからそっち側にほんとはいなきゃいけないんだけどね」

 裏切り者。

 仲間を殺して生きる。

 人であろうと人でなかろうと、人は己の欲望を制御できない。

「私の血をあげる。創造主の血は解毒作用があるって知ってるよね?」

 ぴくりと人間だったものが動いた。

 そして這いずり逃げようと突き刺した頭を自ら引きちぎった。

「……」

 手のひらを思い切りきり、自分の血を雨で作られた水たまりに投げ込む。そこに逃げ込んだ人間のパーツは次々と石化してく。

 まるでメデューサの力。

 神との混じり合いが私の祖先。

 そこから人が増えて、血が散らばった。ただ直系と分家の違い神の能力の濃さは異なる。

 それが創造主と呼ばれる私の血。

「さようなら、友だちだった人」

 石化した人間だったものは、刀の鞘でつくだけで簡単に崩れた。

 雨が崩れた石を灰として押し流す。

「あとはお願いします」

 後ろを振り向き、何もどうじてない友だちに片付けをお願いする。

 彼を伴うのは私の役目ではない。

 あくまでも私はおかしくなった仲間を止めるための存在であって、愛しさをあげたり、悲しみをわかってあげる存在じゃない。

 いわば、神の力を持った死神にすぎない。

 その場を離れてくと、泣く声が聞こえてきた。

 大事な人だったのだろう。私にはその価値がわからない。友だちであったことには変わらない。

 でも、化物になってしまえばそれは友だちでなく、ただの化物。


 あぁこの雨が全ての血を普通に戻してくれればいいのに。

「……」

 しばらく雨はーー止まらなかった。

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バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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