一通の手紙と夏の謎解き
さくら ゆい
プロローグ
暑い夏の日、私はソファーに座ってテレビを見ていた。
課題も終わって、特にすることが無いからだ。
こんな自分の名前は
「結音お姉ちゃん、いる?」
「いるよ」
私がそう言うと、栞那がリビングの扉を開けてソファーに座った。
「何かあった?」
「お手紙がお姉ちゃんに届いているから、渡そうと思って」
そう言うと、彼女は私に手紙を渡してくれた。
その手紙は、少し重みがあった。
「ありがとう、後で読むね」
「うん」
そう言って、妹は自分の部屋に行ってしまった。
そんな妹を見送って、封筒の裏を見た。
差出人の名前が、
その人物の名前に私は、懐かしさを感じた。
彼は、私の中学1年生~3年生までの担任だった。
最初は、別に仲なんて良くなかった。
でも、ある事をきっかけに仲良くなったのは今でも覚えている。
それは、彼がよく笑うようになった時だ。
最初の彼は笑うことも、怒ることも、何もかもしなかった。
感情がなかったと言う事になるが、その理由は今でも分からない。
同級生も、同じ学年の教師も、誰も聞けなかったからだ。
その内、彼にその理由を聞くのは学校内では禁忌とされた。
だから気になっても、一切彼には聞くことは出来なかった。
そして、私は封筒を開けた。
その手紙には感謝の気持ちの言葉や私の身を案ずる言葉が書かれていた。
その中に、気になる文があった。
「何故、俺が感情を失ったのか教えて欲しい」
その文を見て、私は彼が自分の感情を失った理由を知らないことを知った。
私はこの事実を知ってしまった以上、引き下がることは出来ないと気付いた。
ということも思っている部分はあるが、私にとって鈴木先生は
どんな時も私達を考えてくれていた良い先生だったから、助けたいと思った。
私は彼を助ける決心をした。
これから、彼を助ける準備をしなきゃ行けないね。
絶対にやると、私は決心した。
なら、最後までやり切ってやるんだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます