第3話 足音の正体

 大人に比べて、子供の方が不思議な体験をするという話を聞いたことはありませんか。これは私の妹が体験した話です。私と妹がまだ小学生だった頃、家には私と妹の2人きりでした。私の部屋は2階、妹の部屋は1階です。私が自室で宿題をしてると、階下から私を呼ぶ声がしました。声の主は当然妹です。呼ばれたからには降りないわけにはいきません。私は宿題の休憩がてらに、階下に向かいました。すると、階段の下に妹が待っていました。怪訝な面持ちで。そして、言うんです。「お兄ちゃん、ずっと部屋にいた?」それに対して「いたよ」と答えると、妹は首を傾げて自室へと戻って行きました。

 その後事情を聞くと、こういうことでした。妹が自室で遊んでいると、階段を降りる音がしたそうです。降り切ったタイミングで私だと思い声を掛けましたが、返事がなかったので様子を見に行くと、誰もいません。不思議に思った妹は階段の下で、私の所在を確かめようと名前を呼びました。すると、2階から私の声がしたんで、大層驚いたそうです。結局、妹は誰の足音を聞いたのでしょうか。それは今でも分かりません。

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