羅生門 下人のその後
@ruuuuuuuke
第1話 直後
下人は逃げた。必死に逃げた。京の夜は特段暗い訳ではない。ただ、下人には今日は特段暗い日に思われた。気がつけば、老婆から奪い脇に抱えていた筈の着物もなくなっている。ただ下人は着物を奪ったからといって、何か使い道を考えていた訳ではなかったし、精々のところ売ってお金にしようとくらいしか思っていなかった訳だが。
気がづけば、下人は寝殿造の屋敷が大量にあるところに立っていた。どうやら貴族達の住む京の中心部に来てしまった様である。下人は逃げたものの、兎に角あの老婆から離れようと逃げたのみで、目的地はおろか方角すら意識せずに逃げたわけであった。
下人は不気味なほど静かな屋敷街を進んでいた。ここら一帯も京が栄華を極めていた頃は毎日の様に宴会が開かれていたものであったが、今はその面影すらない。この事からも、当時の京の衰退の様子が窺い知れるというものである。
そこで、急に下人は声をかけられた。下人はその声に聞き覚えがあった。途端に下人はニキビが気になり始めた。
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