悪縁
道茂 あき
第五章
第1話
臨床実験、レベル、英雄、人災、兵器、魔物。
おとぎ話を聴いて、納得している自分がいる。
世の理が反転してしまった事実を耳にして、そうなんだと納得するほかに行動を起こさなければならないのだろうか。何も力がないから諦めて傍観者になれているだけなのか、大きな力があれば何か感情が湧いたのだろうか。
誰かが泣いていた姿が思い出される。
殺意がない俺を誰かは賞賛してくれるけれど、ホントにそれはよいことなのだろうか。殺意がない俺が人間ではないのではないだろうか。
何も変われない。
何も変わらない。
俺は何故、逃げようと思う?
逃げた先には何があるのか?
そこから逃げ続けて来たのに、その場所へ逃げているのは何故だろう。
記憶でしか近づけない幼いその場所は、桃源郷みたく夢のよう。
逃げると言いながら私の足取りは気づけばのその場所へ。
知りたかったのだろう、ホントの僕が居た故郷を。
確かめたかったのだろう、ホントに自分の想い出があるのだと。
ああ――、信じ切れるぬ手前よ。
我は、誰だ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます