第9話 エヘッ! 9

「おみっちゃんの夢はお江戸で歌姫になること。しかし酷いとてつもない呪われた音痴。呪いを解くためには良いことをしなければいけないと女将さんが言っていた。困っている人間を助けて善行を積むのであった。」

 これが茶店の歌姫は呪われていた。

「私の名前はおみっちゃん! 夢はお江戸で歌姫になること! しかし私は可愛そうにも呪われた体質。その呪いを解くためには女将さんが言っていた。困っている人を助けて善行を積めば呪いは解けると。そして私の夢は叶えられる。そのために今日も一日がんばるです! エヘッ!」

 おみっちゃんの冒険はつづく。


「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 おみっちゃんは人手不足の茶店で女将さんを助けている。

「おみっちゃんがいると人件費を削減できていいね。イヒッ!」

 守銭奴な女将さん。

「女将さん、仕事が落ち着いたので困っている人を助けに行ってきますね。」

 おみっちゃんは善行を積みに出かける。

「行ってらっしゃい。気を付けてね。」

 見送る女将さん。


「どこかに困っている人はいないかな?」

 おみっちゃんは街を彷徨います。

「キャアアアアアア!」

 その時、女性の悲鳴が聞こえてきます。

「山の方からだ! 行ってみよう!」

 おみっちゃんは悲鳴の聞こえた方へ急いだ。


「大丈夫ですか?」

 おみっちゃんが現場に駆け付けると女性を見つけた。

「はい。化け物が現れたんです。」

 女性は化け物の方を指さす。

「この山は私のものだ! 木材は誰にも渡さない!」 

 化け物が現れた。

「おまえは何者だ?」

 おみっちゃんは尋ねてみた。

「私は地球侵略を狙う魔王妖怪マヨ様の妖怪、天狗だ。

 現れたのは天狗。

「出たな! 魔王妖怪マヨの手下め!」

 おみっちゃんは魔王妖怪の手下と遭遇する。

「地球上の木を人間には渡さない!」

 妖怪の狙いは人間を困らせることだった。 

「チャンス! 善行を積むチャンスだ!」

 善行チャンスにおみっちゃんは喜ぶ。

「そうはさせるか! 私が相手だ!」

 おみっちゃんが妖怪の前に立ち塞がる。

「勝負だ! おみっちゃん! 唸れ! 羽団扇! 必殺! 竜巻!」

 妖怪はおみっちゃんに襲い掛かる。

「ギャアアアアアアー!」

 おみっちゃんは竜巻に呑み込まれる。

「勝った! 勝ったぞ! 私の妖術の前に敵はいないのだ! ワッハッハー!」

 勝ち誇る妖怪。

「何を笑っている?」

 そこにおみっちゃんが現れる。

「バカな!? どうしておまえがそこにいる!?」

 状況が理解できない妖怪。

「私は幽霊なので食べることはできないのだ!」

 おみっちゃんは幽霊なので食べられることはない。

「そんなことありか!? 卑怯だぞ!?」

 納得がいかない妖怪。

「私が可愛いから許してください。エヘッ!」

 おみっちゃん得意のエヘ笑い。


「今度はこっちの番です! 私の歌を聞いてください!」

 おみっちゃんの夢はお江戸で歌姫になることでした。

「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は森林伐採!」

 おみっちゃんが歌を歌い始めた。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。

「ギャアアアアアアー! なんだ!? この酷い歌声は!? 耳が腐る!?」

 妖怪は藻掻き苦しむ。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 更におみっちゃんは気持ち良さそうに歌い続ける。

「人類は山を放置して木を腐らせてきた! それなのに木材が足ら無くなっったら手のひらを返して、木を寄こせだと! ふざけるな! 私は木の気持ちを代弁しただけなのに! ギャアアアアアアー!」

 天狗はおみっちゃんの歌声に耐え切れずに爆発して倒された。

「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」

 大好きな歌を歌えてご満悦なエヘ幽霊。

「困っている人は私が助けます! エヘッ!」

 恐るべき魔王妖怪マヨの世界征服を阻むために、エヘ幽霊のおみっちゃんの善行を積む冒険はつづく。

 つづく。

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