第11話 バスト測定会

場内はピンクの蒸気を纏ったアメリカン・バーレスクのようであった。

 ファンとなった獣たちは少女たちから脱がした法被を大事そうに抱えて観客席に戻っていった。


 そして、イベントはアイドルのお披露目会としては異例の『バスト測定会』に変わった。

 脱がされたメンバーたちは純美を中心に横一列となった。

スタッフたちが純美たちの後ろにメジャーを持ち待機する。

「それでは、『バスト測定会』を始めます。ここでですが、Eカップ以上に到達しなかったメンバーは、研究生としてデビューはお預けとなります」

突然のアナウンスにメンバーたちの緊張は高鳴り、瞬きを忘れていた。

場内で見守る男たちも今推しになったメンバーがデビュー出来なくなってしまう恐れにブーイングの嵐を起こす。

 「なお、一人でもEカップ以上に到達しなかった者がいた場合、純美が代表として罰ゲームとなりますので最後まで温かく見守ってください」

ブーイングの嵐をかき消すようにアナウンスの声は強い口調で続けた。


「それでは、純美から測定していきたいと思います」

純美の後ろにメジャーを持った松本が立つ。

まずはアンダーから測定した。

「アンダー60㎝」

「おお!」

見た目だけでも華奢な体型なのが分かるが、実際に数値にすると飛び上がるように心拍数が上がる。

「トップは、、、90㎝。Fカップですね」松本は計算が速かった。

測定結果に場内の拍手や声援が沸き起こった。

「ナイスおっぱいだ!」

「さすが、キャプテン!」

「よかったー!純美ちゃんおめでとう」

歓声の中、純美は薄っすらではあるが微笑み、会釈をした。

異様な雰囲気であるが、場内にいる者たちの理性はすでに壊れていた。


次に清純そうな顔立ちと猫目、160㎝と魅力的なスタイルの持ち主が列の前に出た。清楚な黒髪ストレートの可憐は、気さくな振る舞いで初対面である、観客たちにも分け隔て無く対応していた。元々のあざとい性格は、すでにファンの心を釣り上げていた。

「アンダー65に、トップが85cm。Eカップですね」

程よい肉付きの肉体にファンの目は釘付けであった。


次は、可憐より少し丸みを帯びたシルエットの可愛らしい美女が名前を呼ばれる。

「次は、菅野綾(かんの あや)」名前を呼ばれた綾は一歩前に出る。

純美、可憐と同年代の21歳。可愛らしい丸顔と豊満な肉体であり、副キャプテンである。純美が加入するまではキャプテンであったが、純美のキャプテンが決まった後は陰ながら支えている存在であった。元々、頼りやすい性格であり、他メンバーの相談相手になる事が多い。

そんな彼女は、小学校高学年からEカップまで発育していた。学生の頃から弄られている自身の胸にコンプレックスを抱いていた。

 しかし、NONAMEとの出会いで自身の体を武器としていくことを決めた。

「アンダー70、トップが93。Hカップになります」

蒸れに蒸れた大きな果実は迫力を増していた。

目に見えるだけでも、巨大な肉塊は実際の大きさが分かると一際輝いていた。

ファンたちの目にも輝きに満ちた瞳で果実の動きを一瞬も見逃すまいと彼女が動くたびに笑うように揺れる胸に刮目していた。


次は、葵の番となる。肩幅が広いく丸みを帯びたシルエットはグループの元気印であり、カラーコンタクトを入れたような澄んだ瞳の持ち主。可憐同様気さくな振る舞いからファンの心を掴んでいた。

「70の95。Fカップです」

安堵の拍手が葵の胸に注がれた。この光景は葵がファンにとって大事な存在であることを証明するようであった。


 次は、菊道夏希。元々人見知りをする性格であるが、控えめな態度は一部のファン層から気に入られていた。ハーフ系の顔立ち、困り顔、黒髪ロング。褐色な肌とほんのりむっちりした肉体は緑の水着からほんのりと紅葉していた。

「70の93。Fカップです」


 続く、幼げな色白の小顔に反抗期を思わせるような茶髪ショート最年少メンバーであり妹のように可愛がられている小柄な体格の藤本紗枝はEカップ。


 次は、ハーフ系に幼さを足した顔立ち、ツヤのある黒髪ショートの持ち主の遠藤サレン。ロシアにルーツを持つクオーターであるが、外国語苦手な彼女はEカップであった。150㎝台と小柄で身長は紗枝と変わらないが紗枝よりも、子供のようにはしゃいでいた。


 次に、松川ほなみ。色白で愛らしいタヌキ顔だが手足が長く大人びた体格。黒髪で丸いショートヘアーからコケシに似ている。舌足らずなしゃべり方だがしっかり者であり、紗枝とは教育係兼親友。同じくEカップを計測していた。


残るメンバーはあと2名。ここまで来たらみんなめでたく正式メンバーとして応援したい。ファンの盛り上がりとは対極な結果が出る。


「由香、Dカップ」「千里Cカップになります」

先程の歓声の嵐は過ぎ去り、2人の美少女は俯いていた。


「それでは、由香、千里の2名は残念ながらグループのコンセプトにまだ達していない為、研究生として今後は活動していきます」

NONAMEのアナウンスに場内は二人になんて声を掛けて良いか分からなかった。


「また、既定のカップ数に達していない為、純美の罰ゲームを決行したいと思います」


 スタッフが罰ゲームの準備を始める。

ローライズの小さなデニムショーパンにレザー調に光沢した赤のツイスト・バンドゥ・ビキニの姿で後ろからアイマスクをされる。

豊満で今にも飛び出しそうな双山と相まって、妖艶な姿であった。

ファンは今でも飛び出しそうな心臓と下半身の硬くなった竿を抑え込むのに必死だった。


純美の背後にはX字の礎台が運ばれる。

目が見えない状態でスタッフの誘導の元、両手脚を礎台に付けられた手錠に掛けられる。


そして、NONAMEのアナウンスに流動され、ファンとメンバーたちは会場外の裏に案内される。そこには、この場に似つかわしくない大型の洗車機が用意されていた。

何が起こっているか分からない純美は覚悟をしていたものの不安に駆られ、見えないはずなのに辺りを見渡すように首を動かしていた。

洗車機の近くに用意されていた一台の車の前まで担ぎ込まれる。

純美はそのまま、車に固定された。


「皆さま、罰ゲームの用意が出来ました。純美ちゃんに受けてもらう罰ゲームは『人間洗車機』となります!」


 純美は目隠しを外される。下を見るとゴム製のブラシが洗車機内で回転しながら純美に向かって行っていた。


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