吉原理恵子先生の『間の楔』 とりあえずイアソンのことしか考えられない
高校3年生のとき、オタ友が吉原理恵子先生の『間の楔』を貸してくれたとき、私は完全に吉原沼に沈没した。
読み終えて、しばらくは何も手に着かず「とりあえずイアソンのことしか考えられない!」そんな状況だった(←勉強しろよ、受験生!)
ざっくりあらすじ。
イアソン(攻め)×リキ(受け)のBL小説。
コンピューターで惑星が管理され、脳は人間で体はサイボーグというアンドロイドが人間を支配する世界。
アンドロイドは髪の毛の色で階級があり、ブロンドの髪のイアソン・ミンクは最高級のエリートサイボーグ。
一方のリキはスラム街の雑種で最下層の人間だが、黒い瞳に黒い髪のスタイルの良いカリスマ性のある男で、「ダークのリキ」と呼ばれ、男女問わず人を惹きつけるような強烈な個性の持ち主。
本来、身分が違い過ぎて出会うことすらないはずの二人が「いつかこのスラムから抜け出したい」と野心と好奇心を持つリキの行動により巡り合う。
一度だけ成り行きでリキを抱いたイアソンはその魅力に惹かれ、リキを監禁してペットにする。
私がこの小説を読んで一番衝撃だったのが、イアソンが気の強いガキ大将タイプのリキを自分に従わせるために、リキの性的欲求を完全に支配することで、従順なペットにしつけようとしたこと。
体の関係の上では、イアソンが圧倒的優位でリキは強引にイアソンに屈服させられる。
でもこのお話が面白いのは、精神的な面ではエリートのイアソンがリキの魅力のドツボに完全にハマってしまうところ。
ペットを外に出すのは禁止なのに、リキが「この生活は息が詰まりそうだ」と言ったら、ルール無視で外での生活を許してやったり(冷酷なはずのイアソンが大甘です!)、これまでペットをころころ変えていたイアソンがリキだけは手放さずに一切浮気もしなかったり、一方のリキの浮気が分かると鬼畜なくらいに責めてみたり、リキの仲間たちにリキは自分のものだと見せつけたくて足を舐めろとリキに命令してみたり、「イアソン、リキのこと好きすぎじゃん!!」ってところに激萌えでした。
特に印象に残っているのは、リキが幼馴染みのガイを庇うような言動をすると、「そんなにガイのことが好きなのか」と大きなショックを受け、精密な胸の回路がショートする勢いで心を抉られるところ。
でもプライドの高いイアソンは本当はリキのことが大好きなのに、甘い言葉をかけたりはできない。
最後は、リキをペットにしたことを許せないと思った元カレのガイが強引なやり方でリキとイアソンの関係を断ち切ろうとして、イアソンを窮地に追いやる。
ガイはイアソンと死ぬ気だった。
リキは助かろうと思えば助かったはずなのに、ガイだけ助けると、自分は負傷したイアソンの元に走り、二人で死ぬとゆー。
死ぬのかと思うとすごく切ないけれど、体がサイボーグのイアソンと人間のリキだと、二人で長く共に生きていけばリキのほうが将来的には老けてしまう。
ガイとイアソン、最後にリキが選んだのはイアソンのほう。
イアソンの気持ちが(死ぬ間際になってだけど)報われた瞬間で、人工体と生身の人間のある意味、最高の恋の終わり方。
破滅的で、だからこそ美しいエンディング。
そしてあらゆる悪を許される身分の王様のような冷酷なサイボーグのイアソンがリキのことになると愚かな人間らしい面を見せまくり、恋心を自覚しつつも、それでも飼い主とペットという歪んだ関係でしかリキをつなぎ留められないことに心を痛めるシーンは読みながら死にそうでした。
さらにリキ本人は無自覚に性的な魅力を放ち、男女問わず、周囲の人間を欲情させていく展開にハラハラドキドキ。
最初から最後まで濃厚な小説で、とりあえずしばらくはイアソンのことしか考えられない!! って感じでした。
キュンキュンを通り越して、子宮がキューンとなるようなドロドロのBL小説を吉原先生ありがとうございますm(__)m
※アルファポリスさんではR18なBL作品も書いていますm(__)m
興味がありましたら、のぞいてみてください♡
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/4964622
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