第11話「やっぱり好き」

【君塚森香】


「うぅ……恥ずかしい……」


「ははっ、いつもの威勢はどこに行ったのやら」


「う、うぅ……いるなら先に言ってくれたらいいのにぃ……ずるいよぉ」


 池上君と別れた後、私は最後まで残っていた空と二人で帰路に立っていた。


「いやぁ、まさか森香が何も聞いてないとは思ってなかったからな。俺が何か言う前に教室に行っちゃうし、一回一回行動が早いんだよ、いつも」


「そ、それはだって……委員長だし」


「じゃあ、もし俺が実行委員じゃなかったらどうしてたんだよ?」


「……待ってると思ってた」


「——はぁ、まあそうだけどさ」


「じゃあいいじゃんっ————ずるいことするんだもん、ほんと」


 ヘタレな癖に、そういう時は一丁前なんだから。乙女心というものを子の幼馴染はよく分かっていならしい。まあ、考えてみればそれも、今になってからの話ではないけれど。


 鈍感という言葉が似合う男なのか、もしくはただただヘタレなのか。

 いや、そのどっちもな男なのは確かだ。


「……今日も家、行っていい?」


「え、いいけど……なんで」


「む……空のせいで、全然仕事できなかったから」


「いやなんで、俺のせい!?」


「いいのぉ、全部空のせいなのぉ‼‼」


「な、理不尽だ」


「いいじゃん、別に、そうでしょ?」


「い、いいけどさ……」


「ほら、じゃ、いこっ!」


 本音を言えば、ただただ行きたかっただけ。

 あんなことをしてしまったのは恥ずかしいと思っている。


 だけれど、それ以上に。


 今までロクに楽しむことすらできなかった文化祭を作る側として、好きな相手と一緒にできるという事実に、私は少しばかり、いや凄く―—嬉しい気持ちを打ち明けられずにいられなかった。


 やっぱり、どんなに鈍感でも——空は可愛くて、好きだ。


 うん。


 それだけはやっぱり揺るがないや。




<あとがき>


 ちょいと短めにしてみました。今日中にまた、投稿します!!


 ではでは、皆さんお待ちかねのイチャイチャ回をご堪能あれ〜〜って、毎回イチャイチャしとるか。

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