日々野雑感

@ryumei

第1話 統治者について

 当たり前のことだが、世の中には統治するものとされるものとが存在する。

 規模感は様々だが、当座、特定の組織の指示系統のトップにいる者を統治者と定義する。

 自分が目の当たりにしてきた統治者は、大概優秀であった。

 機転が利いて判断が早く、リスク管理に敏感で、それでいてロマンとビジョンを持っている。

 組織は基本的に、統治者の目標を実現するためのツールである。

 その、ツールたる組織を保護するためならば、冷酷になることを厭わない。

 統治する側になった途端に、世の中は善意で成立などしていないという、当然の事実をリアリティをもって知ることになるのだろうと想像している(このあたりは、すべての人間が社会に出たらだいたい知ることになると思うが、統治者はその現実を目の当たりにすることの頻度が桁違いだろう)。

 だから、冷酷になれるということは、統治者として優秀になるための必要条件だとすら思う。

 理屈としてはわかる。

 ただ、好き嫌いだけで言うならば、やはり冷酷な人間は、好きにはなれないのだった。好きになれないから忠義心が持てない。そして、忠義心が持てていないことは、見透かされているだろう。

「優しくなければならない」

 と言っていた無頼漢のほうが、好感は持てる。

 こういう考えを持つ自分は、統治する側になれないのは当然として、統治される側としてもうまくは立ち回れず、社会不適合の自覚のもとに、なんとか生活していく道を模索していくほかないのである。

 

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