お題96、子供の笑い声(実体験)

これは私が小学生のときに体験したお話です


当時は祖父母と同居しており、わりと広い庭がある家に住んでいました。

そして、その庭には小さな鳥居と社があり、お稲荷さまがおりました。


この地域の風習なのか、商売をやっていて、ある程度の庭を持ってる家には必ずこの鳥居と社はありました。


そして、そのお稲荷さまたちはちょうど私の部屋の隣におりました。

私の部屋を見守るようにあったのです。


さて

とある日、いつも通りに寝ようと電気を消して部屋を真っ暗にしてベッドに横になりました。

その日はなんだか寝付けずに遅くまで目を開けてしまっていました。

そして、体勢を変えて左に向きまして、お稲荷さまに背を向ける形になったんです。


その瞬間、右肩がかあああっと熱くなったんです。

そして背中に痛いほどの視線。


あ、誰か人がいる。


妙にそこだけは冷静になりました。

ただ、怖くて振り向けない。体が恐怖で固まるというのは、この事なんだなー。

そんな事を思っている内に、肩の熱さが背中全体に伝わって、痛くなってきたんです。

日中の炎天下で肌を焼いているような痛み。

やけどの痛みがしていたんです。


もう、怖かったのですが痛みをなんとかしたくて私は力を振り絞ってバッと振り向いたんすよ。

すると、そこには


何もいなかったんです。


凄く安心したのを覚えています。

なんだか疲れてしまったので、そのまま寝ようと目を閉じました。

だんだんと意識がウトウトとしてきて、心地よくなってきました。


けれど、その時感づき始めてました。

あ、これ金縛りになるな。


じわじわと手足に痺れが広がっていく感覚がして頭は起きてるのに体が動きません。

そして、その時


耳元で数人の子供たちの笑い声が響き始めたのです。


笑い声が響く中、どうする事も出来ないまま時間が過ぎ去るのを待ちました。

そして笑い声が遠くなっていくと、


今度はお腹の上に何か乗ったんです。

とたんに咳き込みました。


重い。息が。


お腹に何かが乗っているせいで息があまり吸えず、口も開かないため、鼻で息を大量に吸うしかありません。


んふー んふー んふー


お腹の上のそれは微動だにせず、ただじっとしていました。

私は目を開けました。瞼は動かせたんです。


目を開けるとそこには誰もいない。

ただ、羽毛布団がお腹あたりでぺたんこになっていました。

誰かいる。

私は鼻呼吸をめいいっぱいしました。

いつも金縛りにあうと深呼吸を続けていると指先から動くようになるのです。


んふー んふー んふー


としていると指先がぴくりと動きました。

あとは勢いに任せて寝返りをうちました。

お腹の気配はふっと消えて私はベッドから離れて電気をつけました。

部屋には誰もいませんでした。


その日は電気をつけたまま起きていました。


さて、皆さん私が最初の方で地域の風習なのかお稲荷さまが庭があれば建てているというお話したのを覚えていますか?

私の家だけじゃないんです、建っているのは。


次の日、学校は休みでおやつでも買いにいこうと出掛けました。

斜めにあるお庭付きのご近所さんの前を通りかかった時です。


違和感を覚えて立ち止まりました。


…鳥居と社がない。


私は買い物から帰って祖父に聞きました。


取り壊しちゃったの?と


どうやら私は日中平日は学校に行ってましたし、子供だからとくに知らせてなかったようなんですが、そのご近所さんはおなくなりになられていたようで

あの土地は更地になってしまうらしく、お稲荷さまも撤去したようでした。


子供でしたが、

信心深い祖父母からお稲荷さまたちのお話を聞いていた私は、その話を聞いて、あの恐怖体験がなんだったのかわかりました。


塞いじゃってるんだ。と。


私の部屋の隣のお稲荷さまがある方角、裏鬼門なんです。


そして、ご近所さんのお稲荷さまがあった方角は鬼門。


ひょっとして、鬼門から悪い何かが入ってきて、裏鬼門の私の部屋で塞き止められた?

子供の時の私は本気でそう思って、祖父に体験した事を話しました。


祖父は父を呼び、近所の神社に行ってお札を貰ってきて、鬼門の方角に貼っていました。


また、後日私が学校に行っている間に神社の方が家に来られていたようです。


これが心霊好きな私が体験した

実際に体験するとロクなもんじゃねえなと思ったお話でした。

ご静聴ありがとうございました。

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