お題45、何かを咥えたカラス

Aさんという方から聞いたお話なんですが、Aさんのご近所さんにカラスに餌やりをしてしまっているおじいさんがいたんですね。


朝方や夕方、カラスたちがそのおじいさんのお宅に集まってしまっていたんですが、不思議と大人しくおじいさんのご飯を待っていたんですね。

だから、不気味だけど近所の人は何も言わなかったし、Aさんは時々おじいさんとお喋りする仲だった。

ただ、ある日からそのおじいさんの事を見かけなくなった。

どうしただろ、と思っていると一匹のカラスがAさんの近くに来るようになったんですね。


で、何だと思ってよく見ると何か咥えている。手紙を咥えてるんです。

カラスはAさんの足元にぽとっと手紙を落とすと飛び立ったんですね。Aさんがその手紙を読むと、一言書いてあった。助けてって達筆な字で。恐らくおじいさんの字。

Aさんは近所の交番に駆け込んで手紙を見せた。

すぐにおまわりさんがおじいさんの家に向かってくれて、後から聞いたらしいんですが、結果的におじいさんが家の中で亡くなっていたらしいです。

残念だなってAさん思ってたんですが、警察の方と話してて分かったことがありまして、あの手紙の字、おじいさんの字じゃなかったんですよね。

誰が書いたか不明のままだったんですが、Aさんはカラスが書いたんじゃないかなとおっしゃっていました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る