百物語

お題40、野良猫の視線

40野良猫の視線の先

猫って結構人の見えないものが見えてるっていうか、え、君今何見てるっていう瞬間ありませんか？私、猫飼ってないんですけど。

とある男性が仕事帰り、自分の車を止めてある駐車場に車を取りに来たんですね。

さっさと帰ろうとしたとき、駐車場のど真ん中に野良猫が一匹、体勢を低くしてじっとしていたのを見つけました。

お、ここら辺野良猫いたんだなと思いつつ、男はその猫を脅かさないよう怖がらせないよう一定の距離を取りつつ、自分の車に向かう。

ちょうど猫の背後ぐらいの位置になった時だった。

猫が少し唸ったんですね。

やば、近かったかなと思って、猫を見るとこちらを見向きもしていない。

不思議に思って猫の視線の先、だいぶ先に止めてある一台の車を見ていた。

なんだ、と思ってよく見てみると、車の下に女がいたんです。狭い下に顔を真横に向けて手をついている女。

男性は悲鳴を上げそうになるのを必死に抑えて、慌てて自分の車に駆け寄ってドアを開けて車に飛び乗った。

発進させようとして、あ、猫大丈夫か？と顔をあげると猫は消えていて、駐車場は自分の車のライトと駐車場の備え付けのライトしか光ってなかった。男性は車を発進させて駐車場を出ました。

よく猫が何か見てる先には幽霊がいるという話を聞きますが、実際は虫だったり、どこか遠くの音を聞いてるって話ですが、本当に幽霊の可能性もありますよね。