一人の家Ⅱ
静かな一軒家。
庭もあって、駐車場もある普通の家。
俺はそんな静かな家へと一人で帰る。
「ただいま……」
両手に持った野菜や日常品。そして、野菜を冷蔵庫へと入れた俺はそのまま二階の自分の部屋へと戻っては机に教科書を広げる。
今日の午前の授業は眠ってしまっていた為に自分で勉強して、次の授業に備えるのだ。
そして、他の教科も予習と復習をする。
毎日の習慣のようにする行動。
自分の将来を見据えてのことだ。
俺の将来の夢は今のところはない。
だが、学校で成績を取って置けばそれなりの大学にも行ける。だからこそ、俺はこうして家でも勉強をしているのだ。
時計の秒針が動く音が響く部屋の中で俺はただ只管に勉強をする。
まるでそれしか出来ない様に……。
「いつの間にこんな時間になってたんだ?」
部屋にある時計は夜の九時を指していて、俺はまだ晩飯も食っていない。
昼に帝島から貰ったクリームパンのおかげで何とか昼は凌げたが、流石に俺の腹は晩飯を求めるように昼と同様、甲高い音を立てては晩飯を要求してくる。
俺は飯を食べる為にキッチンへと行けば晩飯を作り始める。
具材を軽快に切る音に野菜を炒める音がキッチンを蹂躙すれば、あっという間に料理は出来上がる。
そして、机に広がるのは男子が作ったとは思えないような色とりどりの料理。
だが、それには普通の家庭とは一際違うところがあった。
お皿の数が極端に少ない。
この一人で住むには大きい家で、俺はこうして一人で住んでいる。
それは好き好んで一人で住んでいるわけではない。
いろんな出来事があって、こんな風に一人で晩飯を食べるようになったのだ。
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