第13話


 ・・・・・・・・・・・・おいおいおい。


 この感動のシーンに口を挟むとかマジかよ?


 ほーら言わんこっちゃない。


 兵士さんに拘束をキツくされちゃってるじゃないか。

 

 いや・・・え?ちょ、大丈夫?

 兵隊さん・・・そこまでやらなくても・・・・・・


 いや、それヤバい。

 人間の関節の限界を越えようとしちゃってないかっ!?


「まっ、待ってくれ君達!あんまりにも関節を#極__き__#めすぎると、可哀想だと思うんだよね!俺はうん!」


 その言葉を聞いた彼らは、セリスの拘束を緩めーーーなかった。


 まぁそりゃそうだろうね。

 だって俺は彼らへの命令権無いもん


 得体の知れない俺の言葉に従うはずもない。


「カムイ様の言葉に従ってください」


 でも老執事のグリムさんが言ってくれると彼らは聞いてくれる。


「はっ!」


 うーん兵士らしい短い返事だね。



 さて、感心するのはこれくらいにして・・・


「ちょっとそこの平民!どういう事よっ!」


 ・・・せっかく人がキメ顔で「さぁ、タネ明かしをしようじゃないか」って言おうとしてたのに・・・・・・


 つくづく君は妨害してくれるねぇ・・・・・・・・・


 まぁ良いさ。


 セリスが喚くだけならともかく、感涙しているソフィア嬢にも説明してあげないとね。


 その重要性に比べれば俺の魅力をアピールする時間が減ったことぐらい許してやるよ。


 俺は大人の余裕のある男だからね?


「と、いうわけで。ご事情を説明致しましょう」


 そうは言ったものの、ここにいるのはソフィア嬢とそのメイドのセリナーゼさん。それとカイン君と老執事のグリムさん。あとはセリスと彼女を拘束する兵達だけど・・・兵隊さんはノーカウントでいいや。


 ここにいる俺を除いたこの5人のうち、事情を知らないのはソフィア嬢とセリナーゼさんとセリス。つまり第二王子組はこの話の内実を知っている筈だ。


 確かにカイン君には特に説明はしていないが・・・俺がここにソフィア嬢を連れてきた時点でもうモノの理解はできているはずさ。


 グリムさんは執事だからね。知っているのだ。執事だからね?それも第二王子直属の。なら、知っていて当然さ。それが執事だもの。


 というわけで、俺が説明をしないといけないのは残りの女性陣3人だが・・・


 自分の口で言うのもありじゃないか?

 

 いや、言うべきだな。


「と、思ったのですが・・・カイン第二王子殿下?ご自身で説明をされては如何でしょうか?」

「う゛っ・・・・・・・・・そういうところ、君はお父上にそっくりだよ」

「はてさてなんの事やら?いいからほら早く。セリナーゼさんがさっきから一言も発してませんよ?ソフィア嬢との婚約を結べて嬉しいのは分かりますけど、早く#妻__・__#のご実家の方にも説明されては?」


 カイン君が姿を見せて以降、セリナーゼさんは完全に黙ってしまっている。


 まぁ口をパクパクはさせていたけど、僕たちは金魚じゃないんだよ?


 人間なら口を開いた間に空気を振動させて意思を伝えられるんだから、それぐらいはできるでしょうに?


 ・・・・・・・・・ん?金魚がもう3匹・・・というか俺とグリムさん以外は全員金魚だったようだ。

 

 みんな口をパクパク・・・いや、何か言ってるぞ?


「つ、つっつつつつつっつ」


 ・・・・・・ん?


「妻ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」


 おぉ、最初に人間に戻ったのは君だったかセリスよ。


「か、カイン!いくらなんでも気が早いんじゃないか!?まだ僕たちはこっ婚約しただけなんだから!」


 婚約した時点でもう妻みたいなもんじゃん。


 一緒じゃん、ほぼ。











 ・・・・・・・・・いや、この仕事をやってる俺が言うと恐ろしいほどに説得力が無いな。

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