第9話
「っ!?お姉様!?どうしてこちらに!」
セリス嬢は鬼気迫る表情でこちらに迫ってくる。
「どうしてですって!はっ!あなたのせいに決まっているじゃない!」
止まる事なくソフィア嬢の目の前まで来た彼女は、そのまま大きく手を振りかぶりーーー
パンッッ!
「っ。お、お姉様?」
ーーーソフィア嬢の頬を平手打つ。
「全部あなたのせいよ!あなたが貴族に相応しくないからっ!」
セシル嬢はソフィア嬢を睨みつける。
「あなたが貴族の地位にしがみつくからっ!」
セシル嬢は語気を強める。
「あなたが私の邪魔ばかりするからっ!」
セシル嬢は先程とは反対の手を振り上げ、その掌がソフィア嬢の頬を打つ、その直前。
扉が勢いよく開き、
「何事だっ!」
パンッッ!
頬を叩く音と、部屋の主の声が響いたのは同時だった。
▷
「っ!何をしているんだセシル・ムンハルク!」
私は忌々しき愚かな妹を打った。
だってこの娘は私を貶めた。
平民程度のモノでしか物事を考えられない愚かなソフィアが私を苦しめてきた。
私が受けた仕打ちに比べればこの程度、何が問題だというの。
カイン殿下は私がソフィアを制裁した事が、見て分からないのかしら?
「なんでございましょうか、カイン殿下」
私は落ち着いてカイン殿下に尋ねるわ。
「っ!?自分が何をしたのかわからないのかっ!」
「殿下!おやめください!私が悪いのでございます!」
そうよソフィア。あなたが悪いのよ。
ほら、自分の口でその愚かさを説明なさい?
「何を言っているんだソフィア!」
・・・・・・カイン殿下は何をされているのかしら?
どうしてソフィアを引き寄せて、その胸に抱いているの?
っ!いけない!
このままではカイン殿下までもが狂わされてしまう!
父上の正気を奪って、その口から私を狂っていると言わせた憎いソフィア。
私の友人を#誑__たぶら__#かして、私から奪った憎いソフィア!
使用人を騙して私をどこまでも孤独にした憎いソフィア!!
私の!私と辺境伯の次期当主との婚約を破棄させた憎いソフィア!!!
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いっ!
ソフィアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!
今度はカイン殿下をも狂わせようというのねっっっ!!
させないっ!
それだけはさせないわっ!!!
「いけませんっカイン殿下!その穢らわしい女はカイン殿下を狂わせようとしていますわっ!早くその女から離れるべきですっ!!」
さぁ早くっ!
その女から離れてくださいましっ!
カイン殿下っ!!
「何を言っているんだ君は!」
・・・へ?
「狂っているのは君の方だ!」
な・・・カイン殿下は今、なんと・・・・・・?
「まだ分からぬかっ!この愚かな女め!」
そ・・・そんな・・・・・・・・・カイン殿下・・・
カイン殿下はもう・・・・・・・・・
あの女に狂わされてしまっているのね。
「君の目に余る蛮行は王城まで聞こえている!貴族の恥と呼ばれている事に、まだ気づけないのかっ!!!」
え?
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