秘部の味

バブみ道日丿宮組

お題:紅茶と秘部 制限時間:15分

秘部の味

 キスの味というアメが売ってたので買ってみたものの。

「なんか違う」

「そりゃキスの味だからね」

 買い物に付き合ってくれた恋人が笑う。

「キスはそのとき食べてたものの味がするんだよ。レモンを食べればレモン。ビールを飲んでればビール。これがキスっていう味はないよ。だから、無味が正しいんだよ」

「なるほど」

 なら、秘部の味というのはどうなのだろう。

 これは恥ずかしくて恋人の前で買ってない。気にはなったものの自分で食べる勇気はない。

「ねぇ、今度こっち舐めてみない?」

 おもむろに、袋から開けたアメをちらつかせる。

「それは何の味なの?」

「舐めたら教えてあげるよ」

 秘部というか陰部の味なんて聞いたら、普通は舐めない。

 おしりの穴とか、おちんちんのさきっぽだったり、クリトリスの皮だったり、おまんまんの中だったりと秘部はいろいろあるけれど、どの味なのかはわからない。

 わかるとすれば、それらをいつも美味しそうに食べる恋人ぐらいだろう。

「わかった」

 僕からアメを受け取ると、ためらうことなく口に放り込む。

 僕だったら、絶対できないだろう。

「うーん、紅茶の味かな」

 数秒後食感が出る。

「紅茶なの? へ、へぇ……」

 そんな美味しい味がするものだろうか。少なくとも僕が恋人にやってあげてるときにそのような味は感じたことがない。

 しいていえば、甘い匂いがするくらいだろうが……もしかするとそれが紅茶?

「どうしたの? もしかして違った?」

「……うん」

「ねぇ、なんだったの?」

 いうかいうまいか悩んでると、激しく揺さぶられる。

 いわゆる駄々っ子モード。こうなったら、もう教える以外に解消法はない。

「え、えっと……秘部の味なんだ」

「え? え?」

 恋人は驚きと、狂気の表情を交互に繰り返した。

 意外と、そんなものを食わせるなという心境なのだろう。

「んっ!?」

 油断してたせいか、恋人に口を奪われ、

「そっちも舐めてね」

 アメを口越しに入れられた。

 キス自体にとまどいはなかったが、とまどいがあるものを移させたとなると、

「吐き出しちゃダメだよ」

 阻止された。

「ね? 紅茶の味がするでしょ?」

「ん、んんんん。確かにするけどさ……」

「黙って食べさせた罰だよ。ちゃんと舐めきってね。終わったら、ご褒美あげるから」

 食べ終わった僕は、恋人の秘部を味わうこととなった。

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秘部の味 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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