【BL小説】親友と予行練習

黒川蓮

ショックなお知らせ

 「律(りつ)、俺、彼女ができたんだ!」


 その瞬間、俺の目の前は真っ暗になった。


 驚いて言葉の出ない俺にハルはもう一度言った。


 「だから彼女ができたの!」


 「そう」


 そう言うのが精いっぱいだった。


 俺の様子を見てハルは笑って言った。


 「あ? もしかしておまえ、俺に先越されたとか思ってる? おまえのほうが女にモテるもんね。」


 「そんなんじゃねぇよ」


 「まーた、強がっちゃって!」


 「そんなじゃねぇ。」


 「って素直じゃないんだから。羨ましいだろ~」


 ハルが俺をからかう。


 本当にそんなんじゃないんだ。


 おまえに先越されて悔しいなんて微塵も思ってない。


 だって……


 だって……

 

 俺が好きなのはおまえだから!!!


 そう言いたいのをグッとこらえた。


 俺は学校帰りの道、ハルのクソ面白くないノロケ話を真剣に聞いた。


 真面目に聞いてあげたのは、優しさからじゃない。


 その女の情報を少しでも手に入れたかったからだ。


 歩きながら思った。


 全力で別れさせてやるっ!


 ハルの初めてできた彼女は篠田恵(しのだめぐみ)というらしい。


 篠田恵よ……


 許さない。


 俺の可愛いハルの心を奪った罪で地獄に叩き落としやる!!


 そんな俺の心に全く気付かないのか、ハルは浮かれ気味でいつもより饒舌だった。


 篠田恵よ……俺の可愛いハルに告ったことを後悔させてやろう! 


 そう思った。

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