付き合っている女の子が義妹になった(ボツ作品)
百合ヘン隊 くろ
第1話 プロローグ
「
「どうしたの?」
「希妃が物心つく前にお母さんが出て行ってからだいぶ経つだろう?父さん、そろそろ再婚しようと思うんだ」
「そっか...うん、お父さんが幸せになれるなら反対はしないよ」
いろいろ犠牲にして私を育ててくれたのは見ていてわかる。だから、お父さんに幸せになってほしい。
「そうか、そう言ってもらえて良かったよ。今度会う約束をしているから、希妃も一緒に来てくれないか?」
「分かった」
「相手も一人同じ年の娘さんがいるらしいから、きっと仲良くなれると思う。希妃の誕生日が七月で相手の娘さんが十月らしいから希妃がお姉さんになるね」
「私がお姉さんか、それだと何か不安だけど楽しみにしておくね」
「ああ、ありがとう」
話が終わり、お父さんが部屋から出てパタンとドアが閉じる。
話し終えたお父さんの安堵した顔を見れば相当緊張していたのが分かる。
それもそうだ、年頃の娘にいきなり義理のお母さんや妹ができるというのだから。
はあ、私がお姉さんか。お姉さんらしくってなんだろうと思いながら鏡を見る。
どちらかと言うと子供っぽいのが悩みでもある。
お母さん譲りの猫っ毛を活かしてふんわりショート、見るだけで分かってしまう大人しい性格であろう少し垂れ下がった目に子供っぽい丸っこい顔。胸も小さく子供っぽい体型、大人っぽさとは程遠い。身長が158センチの高校一年生、
もう少し身長があれば大人っぽく見えるのかな。
同じ高校に通っている最近出来た彼女、
そんな子が何で私と付き合っているのかと言うと、断られると思っていながらも気持ちを伝えたくて私が高垣さんに告白をしたのが始まり。
入学式の時から高垣さんに目が奪われた。女の子同士なんて気持ち悪いと思われるかもしれないし怖かったけど、気持ちを聞いて欲しかった。
後で高垣さんに何で付き合ってくれたのか聞くと、ちっちゃい子が泣きそうな顔で必死に告白してきたのが何故かキュンとしたらしい。
高垣さんは誰かを好きになった事がないらしく、よく分からないからと断るつもりだったらしい。
せっかく付き合えたのだ、ちゃんと好きになってもらいたいし頑張らないと。
高垣さんに今日の事を連絡する。
『こんばんは。
お父さんが再婚するらしい。
私、お姉さんになるみたい!
子供っぽいから不安だけど、この機会にお姉さんっぽく大人っぽくなれるように頑張る♪』
すぐに返事があった。
『そうなんだ、おめでとう。
私のお母さんも今度再婚するんだーって言ってた。
私は妹になるみたい。
島田さんの魅力は子供っぽい所だと思うから無理しなくてもいいと思うけど?』
わあ、魅力あるって思ってくれてるんだ。でも子供っぽいのが魅力?まあいいや、嬉しいし。
それにしても高垣さんが妹ってあんまり想像出来ない。どっちかというとお姉さんって感じがするもんね。
何にか日が経ち、新しいお母さんと妹がすでに待っている喫茶店にお父さんと向かった。
カランコロンと喫茶店のドアを鳴らし、お店の人に待ち合わせをしている事を伝えるお父さん。店内を見渡し、見つけた待ち人の所に歩いていく。
奥の席に座っている人を見ると綺麗な髪で整った顔、出るとこは出ているのに引き締まっているお腹、大人っぽい雰囲気を漂わせている高垣睦美、最近付き合った彼女がそこにいた。
「え...え!?」
「島田さん?あれ?もしかしてお母さんの再婚相手って」
「なんだ、知り合いなのかい?希妃」と驚いた様子のお父さん。
「睦美も知っているようだけれど、お友達なのね?」と言った高垣さんのお母さん、とても綺麗な女性だ。高垣さんに似ているツヤツヤでサラサラの髪、綺麗な目に整った顔、スタイルも抜群にいい。
「とりあえず座って、ね?」
「そうだね」
奥の席に座り高垣さんと向かい合うように座る。
チラッと高垣さんの横に座っているこれからお母さんになる人に目を移す。
ほぇ〜。
思わず見惚れてしまう。
「初めまして、早苗さんと結婚の約束をしている、
「はい、よろしくお願いします。睦美です。」
「き、希妃です。これからお願いします」
「初めまして希妃ちゃん、
「お父さん何したの?」
「父さんは何もしてないよ」
「しつこく話しかけてくる人がいて、その時隆也さんが助けてくれたのよ」
「へぇ、お父さんやるじゃん」
「とてもかっこよかったわよ」
照れているお父さん、少し顔が赤くなっている。
その後は私に内緒で密かにデートを重ねていた話を聞いたりした。
新しいお母さんはとてもいい人だった。
そりゃそうだ、高垣さんのお母さんなんだから。
帰り際に「これからよろしくね、お姉ちゃん」と高垣さんにからかわれた。
見る人が見たら完全に姉と妹ポジションは逆だろう。
一緒に暮らすんだよね。一緒に...暮らす、部屋着、お風呂、私服、お風呂...変な事考えちゃダメ!
付き合い始めた彼女が義理の妹になって一つ屋根の下、これからどんな生活が始まるのやら。
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