第40話 朝ご飯でリセット

起きた。隣でミズーリはまだ寝ている。

今朝はミズーリより先に起きる必要があるのだ。起き抜けの私の「私」は若返った事もあり元気だろうと思っていたが、その通り。

何しろ私達は二人とも全裸で寝てたのだ。

私は何もしてないよ。今の感じから何もされてないよ、多分。

ミズーリを起こさない様にそっとベッドを抜け出し、そそくさと身を整える。

さて何を作ろうかね。

「おはようトール。」

直ぐに声がかかった。

「おはようミズーリ。うん、服着なさい。」

案の定、ミズーリは全裸でベッドに腰掛けている。

「報告があります。私はまた少し成長したようです。」

全裸のまま立ち上がり私のそばまで歩いて来た。確かに昨日よりも頭の位置が少しだけ高い。

「でもおっぱいは膨らまないの。」

はあ、あと自分で揉まないで下さい。

「生理も始まらないの。」

そもそも神族である女神に生理ってあるんですかね。

そろそろ叱ろうと思ったが、ミズーリは自分から私から離れて着替えに行った。

私が朝食の準備を始めると衣ずれの音がする。ちょっといやらしい。


今日はトーストを焼こう。と決めたら、食パンとトースターが現れた。いつもの事です。

フライパンでベーコンエッグでもと卵を割ろうとして思い出した。万能さん万能さん。

(黄金のコーモリさんが来そうだね。)

万能さんがオーブンを出してくれたので、カリカリベーコンの準備。

フライパンではにんじんを甘くソテーして、鍋では粉吹き芋を付け合わせに作る。おっとバターを忘れずに。

あちこちで完成の音がチンチンなる。全部を盛り付ける。パンにはマーガリン、ジャム、マーマレードを添えて。スープは王道粒入りコーンポタージュ。万能さんおすすめの牛乳と、コーヒーも入りました。

そしてミズーリは私の向かいの席に腰掛けました。隣来ないんだ。

私が執着していたカリカリベーコンはお気に入りになったみたいで、コリコリ無言で食べ終えると私の分まで持って行く。まあ良いか。


「夕べのはなんですか。」

「分かりません。」

ですか。

「ただ思ったんです。私とトールは交われなくても肌を重ねる必要があるって。」

「夕べのは本物の君ですか?」

「勿論!」

元気だ。

「本当は初夜の為に作った演出とキャラなんだけど、使っちゃったからまた考える。」

それはそれで楽しみにしてます。昨日のも割と好みでしたがね。

「でもね。昨日のは私にも分からない。私だってトールを脱がすの恥ずかしかったんだよ。」

私は動けなくなったけど。

「少なくとも私はトールに何もしてない。私の意志ではない。」

となると、

「天界ね。」

「昨日ベッドの中の私達は薄く光っていたけれども。」

「天界が何を考えているのは分からないけど、一つ分かった事あるでしょ。」

「私は毎晩、あんな幸せに包まれているんだよ。毎日考えているんだよ。貴方には何が返せるのか。なのでとりあえず脱ぐ。見せる。」

最後の一言で全部台無しになった。

「貴方のも見せて貰ったしね。」

この子これからどうしよう。

「これからは毎晩裸で肌を合わせましょう。うん、決めた!」

あんまり言ってるとペナルティくらいますよ?

「それがねぇ。神って愛の一言でどうとでも誤魔化せるし、性には寛容なのよね。」

だよねえ。とはいえ。

「毎晩は駄目です。」

「えー!なんでぇ!」

「私が眠っている間、私の私で遊びかねないからです。」

「トールが心底から反応してくれないとつまらないから、しないよ。」

演技だと思うけど、涎を拭いてニヤニヤ笑っている女神を信用しろと?

こうして私達はいつもの私達に戻れたのだった。

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