第8話 手加減ってどうすれば
食事を終わらせて食器類を湧水で洗う。
ご飯も美味しいし、立派な主夫になれるわねぇと女子スキルなどカケラもなさそうな女神が関心しているが、なら朝食は君が作りなさいと言うと素晴らしい速度でそれはそれは美しいジャンピング土下座をし始めた。
神様はダメ人間である自覚は皆あるらしい。
あと土下座がだんだん上手くなっていくのは神様としてどうなんですかね。
差し当たり娯楽も思いつかなかったのでそのままバンガローに入る。
ポンコツ幼女な女神がイヤんだのカモーンだの言ってたがほったらかしてベッドに入る。
二度死んで二度転生して、慌ただしい一日(?)もやっと終わろとしている。
ランタンは勝手に灯りを絞ってくれた。
名前でもつけて可愛がろうか?
折角寝付いたのにバンガローを覆う殺気に起こされた。
「人数は8人。」
既に起きていたミズーリが大した緊張感も見せず近寄ってくる。
「こんな夜更けにこんな場所にねぇ。」
「警戒じゃなくて殺気なのよね。」
「盗賊とか山賊とかの類いか。」
「悪は死滅で良いわよ。」
「物騒な女神様ですね。」
「神に手を上げるなら相応の罰を与えても誰も文句を言わないわ。」
さっき、神様の頭を引っ叩いた覚えがありますが。
「では。」
そう言うと、私は空中チョップをしながらぐるりと一回転してみる。
外からは悲鳴が響いているが、何かもう確認するのも面倒くさくなったので、バンガローの扉をロックして、急遽窓にシャッターを下ろして寝直す事にした。
おやすみ。
ミズーリが同じベッドに潜り込んで来たが、大人しく寝るみたいなので放置した。
彼女の気持ちを慮れば、天界を追放され鬼と対峙し盗賊に襲われた一日だったわけで。
不安しか無いのだろう。だから一日はしゃいでいたのだろう(多分)。
翌朝、バンガローを出てみると左足首を切断されショックと失血で死亡した如何にもな顔した8人が転がっている。
ミズーリは顔色一つ変えずあたりにこびりつく血を清浄の魔法で綺麗にすると
八個の夕べまで盗賊だったものを森の奥に捨てに行った。
そこら辺に落ちていた木の棒で盗賊だったもの一個を引っ掛けると、まるで重さが無いように持ち上げ森の中に入っていく。
それを横目に万能の力で出した柔らかめのバケットに生ハムとゆで卵のスライスを挟んだだけの朝食を作る。
コールスローサラダにコーンスープを添えて、オレンジジュースをたっぷりと。
「終わったわよ。」
「ご飯出来てるから手を洗いなさい。」
ミズーリは大人しく湧水で手を洗うと椅子に座る。顔中からワクワクが溢れている。
一口食べると案の定、ンーンー言いながら目を瞑る。神様って食生活が貧しいのだろうか。
「アレ、どうするんだ?」
「肉食獣の多い森だから、勝手に処分してくれるわよ。」
「ふむ。」
「何?人殺して気分でも悪い?」
「君は大丈夫なのか。」
「忘れたの?私は死を司る女神よ。人を殺すのが仕事の一部でもあるの。」
「そう考えるととんでもない女神と旅しているんだな。」
「大丈夫。罪の重さは一級品の下衆どもだったわ。今頃どこかの女神が罪を裁いている最中ね。そして今のトールは私達以上の能力と使命を持たされているのよ。」
「とは言うもののねぇ。」
右手をちょっと振り回しただけなのになぁ。
そんな簡単に死んじゃうかなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます