第26話 ロディのその後…
な、なんで僕は、こ、こんなところで働いているんだ…
侯爵家当主になるはずだったんだぞ…そ、それなのに…
「ロディちゃん、洗い物は終わったかしら。あら、ダメよ。こんな洗い方じゃ汚れが残っているわ。ちゃんと出来たらご褒美にと思っていたけど、これじゃあだめね。じゃあ私がよくできるように応援してあげるわ」
そう言って、女のように着飾り、化粧をしたダニーとかいう男が俺の頬にキスをしてくる。
「や、やめてくれ…つ、次はしっかりやるから」
「あら、そう?じゃあ出来ていなかったらまた応援しに来てあげるわね。さぁ洗って頂戴」
な、なんで僕はこんなことになってるんだ……
侯爵家に生まれて自分で洗い物なんてした事ないのに…
あの忌々しい伯爵家との縁を切ってやっただけなのに…
僕の価値がわかるピーチルと婚約しようと思っただけなのに…
それが父上に殴られて、伯爵家からの援助が止まったら侯爵家は立ち行かなくなると聞かされ、仕方なく謝ってやろうとしたのに伯爵家にすら入れず追い返される。
次の日からはサリーの学校が始まる前に会いに行ってやったのに自分の家の財政状況すらしらないと馬鹿にされ、他の奴らにも笑われてしまうといたたまれなくて、立っていられなくなる。侯爵家との婚約なら破棄したくないだろうから婚約破棄は無しにしようと思っても証人が多く、撤回などできない。早く書類にサインをしろと役人が迫ってくる。
何日も粘り、避けられないと悟り、サインをし、役人に書類を渡すと、父上に廃嫡だと言われる。
そんなことになれば僕はどうすればいいんだ!?
どうすればいいか自室に籠っていたのに、婚約破棄を宣言した日から3か月たった日。
ルドルフが我が家にやってきた。ルドルフは遠縁の3男で当主にもなれないから財務官として働いていると言ってた。それなのになんでこんなところにいるんだと思っていたら今日からドルマン侯爵家の当主になると言う。なんだそれは!そんなの認められない!
それなのに、これは議会で承認されたことで決定事項だという。こんなの乗っ取りじゃないか!
そういうとじゃあ借金を今日中に返済しろと言われた。そんなの無理だ……
愕然としていると男二人に抱えられ、知らない店に連れてこられた。
店につくと連れてきた男に「今日からここで働け。働いた金の8割は慰謝料の支払いに当てる。もし逃げ出そうとしたらそのたびに慰謝料が加算される。返済が終わったらそこからは好きに生きればいい」と言われた。慰謝料はドルマン侯爵家の金では返済できず、ナシェルカ伯爵への借金となっているらしい。
いや、ドルマン侯爵家は伯爵になり、ナシェルカ伯爵家は公爵になったそうだ。
そんなことを話していると奥から背が高くて、肩幅が広い奴が出てきた。明らかに僕より強そうなのになぜ赤いドレスなんて着てるんだ?
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