別冊ゲームブック HELLO, GAMERSⅢ~攻略のすゝめ~

ジョージ・柿句

シナリオ1

~はじめに~


 何ら予備知識もなくココへ訪れた読者様へ。


 この物語は『HELLO, GAMERS Ⅲ ~攻略のすゝめ~』の断章です。

 VRMMORPG『リアルクエスト』に登場するクエストパートのみを抜粋し、ゲームブック化しております。


 本編でこの物語の主人公が挑戦しているクエストがいかに過酷であるかを読者様にも体験していただきたく用意した別冊版ゲームブックです。

 したるキャラクター描写や前シナリオもなく、クエスト目的地から物語は始まります。

 物語の主人公、元世界一の格ゲープロゲーマー『山鳥タクミ』に成り代わり、クエストを攻略してください。


 読者様が操作するアバター『アグリ』は一筋縄ではいきません。

『アグリ』は、これまでのプレイヤー『山鳥タクミ』の記憶や性格を引き継いでいます。記憶や経験がコピペされた状態です。(*コピペ=コピー&ペースト)

 そのため、『アグリ』に内蔵されているAIも、山鳥タクミの思考や性格になぞらえて行動し、時にはを発生させます。

 しかも、アバターレベルは『一』、職業は『農夫』です。装備も基本『農具』以外は装備できません。

 それで中級レベルの緊急クエストに挑もうなど、無理ゲーかもしれません。


 全く予備知識無く始められるよりは、山鳥タクミのバックグラウンドを知った方が、クエスト攻略は優位に進むかと思われます。

 キャラクター描写や世界観をお望みならば、『HELLO, GAMERS!』のレベル7からレベル18までをお読みください。

『アグリ』がクエストを受注するまでの経緯を知りたい方は、『HELLO, GAMERS Ⅲ ~攻略のすゝめ~』をレベル7から読まれてください。(*八月中に投稿予定)


 あなたのセンス、洞察力、時にはゲーム経験を存分に発揮し、クエストクリアを目指してください。


  ☼


 ~オープニングシナリオ~


 シナリオ1

 ズィ~チョ、ズィ~チョ、ジィリリ~、ジィリリ~。


 アグリの耳には秋の訪れを告げる虫の音が鳴り響いていた。

 しかし、アグリの目には虫一匹映らない。

 廃棄農村のゲートへ通じる小道に足を踏み入れると同時に、それら虫の音が一斉に消えた。

 思わず隣の雑木林へと身をひそめる。


 待つこと数秒、再び辺り一帯は虫の音に包まれた。


(ただの演出……SEか……)


 果たして、本当にが存在するのかさえも疑わしく思えた。

 コアなゲーマーになればなるほど、虫(バグ)を嫌う。

 待ちに待ってようやく手に入れたゲームなのに、バグが多過ぎて配給停止、なんて目に何度も遭っている人たちが集うだけに……。


 アグリはやぶに身を潜め、緊急クエストの目的地――廃棄された農村の様子をうかがっていた。


(もう少し近づいて……)


 それと同時に、今度はアバター『アグリ』に内蔵されたAI(通称ピコピコ)から、テロップが表示される。

 どうやら、ここがのようだ。


『緊急クエスト・ゴブリンにさらわれた子供たちを救え! のプログラムシーケンスを開始します。クエスト達成条件は、人質の子供四人の救出、もしくはモンスター組織のせん滅です。救出された子供の人数により…………その後のシナリオ展開が大きく変化します……』


(ピコピコの奴、今日は珍しく親切だな……否、俺が興奮しているだけなのか?)


 『レベル一・農夫』のアグリが、これまで本シナリオにからむクエストに参加することは一度もなかった。

 きっとアバター内蔵AI(以下ピコピコ)も、アグリの中の人と同様に興奮を抑えられないのだろう。


  ☼


 ピコピコ:ここからのシナリオは、アバター『アグリ』の脳内で発生する選択肢をプレイヤー、つまりが選択することにより変化します。

 選択肢が表示されたら、それらいずれかを選ばなくてはなりません。

 インターネットブラウザの(戻る)もしくはこのページの左上の(×)をクリックし、シナリオ一覧へ戻り、指示されたシナリオ番号へと進んでください。


ピコピコ:緊急クエストを開始しますか?


 アグリの脳内に選択肢が表示された。


 イエス

「オラこそが、世界一のゲーマーだ!」

【シナリオ3へ】


 ノー

「面倒くさっ! そんなルール知ったことか!」

【シナリオ2へ】

(*カッコ内のセリフはAIによる行動予測です。確定ではありません)

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