記憶の中に戻されて
店の前で佇む
ぼーっとしている私
何をしてたっけ?
どうしてここに居るのだろう?
仕事中だったよね…
ふっと見る店の硝子に写った私の服は学生服で
顔も10歳は若返っている
と言うより、これは高校生の私?
少しの間パニックな思考
私はもう立派な大人でOLしてて
そして何か大切なこともしてなかったっけ?
大切な仲間も居なかったっけ?
考えすぎで気持ち悪くなりしゃがみこむと
明美と里子が走り寄ってくる
「大丈夫?楓?」
「日に当たりすぎたんじゃないの?だから一緒に中に入ればよかったのに」
二人で抱きかかえるように私を起こし
背中を擦ってくれる
失いたくない私の友人達だ
「かえで?病院行く?」
「大丈夫だよ。予定通りカラオケ行こうか」
「本当に大丈夫?ね?」
「大丈夫」
私は笑い二人の姿にパニクった思考が溶け込んでしまう
カラオケで4時間も3人で喋り続ければ
私はもうただの高校生だった
「そろそろ家に帰ろうか?」と里子が言い出し
「そうだね、もう日が暮れた時間だ」と私
「もう少し遊んで居たかったな」と明美
家に帰ろう
夜は危険
二度と二人を失いたくなど無い
・・・・・・・・・・・・・
二度と?
二人が部屋の入り口で靴に履き替えてるのを見ながら近づく
片手を動かし慣れた手つきで空具と呼ばれる剣を生み出しながら
二人に完全に近づいた時は既に
本来の年齢のOL姿の私だった
「ごめんね、明美、里子」
その一言で迷わず二人を切り捨てる
「どうして…せっ……
かく幸せの時間を無限に繰り返してやったのに…
最初は言葉として聞き取れ後半は頭の中に響く
カラオケ施設は闇に溶け夜風が急に吹きだす
そこは戦場だった
特殊な結界空間
魔物を封じ、本来の自分達の世界に被害を及ばせない為の空間
私達はこの空間の中で大抵戦う
ざっと見て8人立っている。私含めて9人か
「カリキーリィ!!皆は失いたくない大切な時間に引き戻されてる!連れ戻して」
カリキーリィと言われた男が何か英語で喋る。聞き取れない。
毒ついただけだろう。日本語の達者な彼だが自然に紡ぐ言葉は英語になる
彼は見た目も派手で好戦的な衣装を身に付けるのが好きだが
完全な後方支援、オールマイティな回復屋だったりする
「楓!武器が欲しい!!ダメージより回復の方が大きくて拉致があかん!!」
私は見やる。9人中前衛5人…ならば一度に作れるだろう
「前衛!!武器閉まって!」
それと同時に私の体は白く白く光に包まれる
光は5つに割れ5人の手元に届いた
それぞれの好む武器の形に光は変化する
「私も前に出る!精神使い切った!」
「大丈夫なの?」
そう声をぼそりとかけて来たのは完全前衛の桜だ
私は笑って答えた
「使い切ったと言っても残留気質は残ってる。言わば魔法に使えなかった端数」
桜はそれを横顔で聞くともう敵に向かっている
強敵には大抵15人で挑む8人の前衛で取り囲み
7人の魔法使い達が回復や攻撃魔法を使う
私と桜と名前言うの忘れたね、武器が欲しいと叫んだ男、群馬とカリキーリィは普段から一緒に行動しているが他はそんなグループの寄せ集めだ
15人まではギルドから個別支援金…歩合給与がでるので
大抵大きな敵はどこかのグループが見つけて支援要請で15人かき集めるのだ。それ以上の戦闘も可能なのだが余った人数分はそれぞれが持ち出して均等にお金を分ける。言わば目減りしてしまうので余程の事がないかぎり集めない
そして私は敵に対峙した
そう二度と失いたくはない…
私は明美や里子を魔に殺されて覚醒した
無茶苦茶に突然生まれた武器を振り回し大怪我しながらも
魔を倒して泣いてる所を
駆けつけたカリキーリィに拾われ3人と合流した
今ではこの3人が失いたくない者たちだ
さて、気合を入れて倒すぞ!
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