第46話

 デスペナルティが明けてから傭兵たちを雇い直し、再び港町シェレナに向かった。


 ピエールの学習型AIはやや落ち着いてきたけど、まだまだ無駄な行動が多い。バロスに至ってはMP残量を考えずに魔法を撃ちまくるので、放置していたらMP切れで肉弾戦を挑む始末。お前のHPはこしあんより低いんだから、後ろでじっとしてろよ! と叫んだけど後の祭り。蘇生薬がドロップしていて助かった。


 レンジャーのハートマンだけは、可もなく不可もなくの行動を取ってるけど、元々戦力としては微妙なのでファイターを雇えば良かったかなと後悔しかけている。そもそもレンジャーってダークの下位互換っぽいんだけど。何か役割があるのかな?


 そんな感じでNPC傭兵をフォローしつつ、三十分以上かけて港町シェレナへと到着した。火力は足りないけど、数の力で何とかなった感じだ。


 街の門をくぐって転移門を使用可能にしてから、再びフィールドへ。沢田さんとの約束までには、まだまだ時間がある。それまでに少しでも、レベルアップと激レアアイテム収集をしておきたい。



「ではまた雇ってください」

「老体にはきついわい」

「……また」


 傭兵たちの雇用時間が終了するころには、港町シェレナ周辺のモンスターとは一通り遭遇できていた。盗賊の目を使っているので、モンスター図鑑もバッチリ埋まっている。ドロップとスチールの激レアアイテムも何とか全て入手できた。でも課題はやっぱりパーティーの火力不足。


 さすがに港町シェレナ付近のモンスターは頑丈で、物理防御力も魔法防御力も高い。今のままだと、一回の戦闘で結構な時間がかかってしまう。早く育ってくれないかな、バロス。もしくはレンジャーとファイターを入れ替えるべきか。



【宿場町周辺】


 ハイコボルトソルジャー

 N コボルト肉

 R シルバーエストック

 UR 回転斬りのスキルブック・フラガラッハ


 ハイコボルトメイジ

 N コボルトの杖

 R シャーマンの杖

 UR 大地の杖・アイスバレットのスキルブック


 ハイコボルトヒーラー

 N 中級ポーション

 R 蘇生薬

 UR 魔力の籠手・パワーレスのスキルブック


 リトルフェンリル

 N 麻痺けし

 R 妖獣の靴

 UR 脱兎のスキルブック



【港町シェレナ周辺】


 バンディット

 N 煙玉

 R クインテット

 UR ペインチャクラム・魔性の円月輪


 堕ちた剣士

 N 力の指輪

 R クレイモア

 UR 次元断のスキルブック・復讐の剣


 暗黒司祭

 N 上級Mポーション

 R 蘇生薬

 UR セブンスフィアのスキルブック・邪道のフレイル


 暗黒魔道士

 N 爆炎玉

 R 爆炎の杖

 UR 獄炎のスキルブック・獄炎の杖


 狂乱騎士

 N 上級ポーション

 R 血みどろの盾

 UR 氷結の弓・雷獣の盾



 宿場町周辺のモンスターはそうでもなかったけど、港町シェレナ周辺のモンスターからはかなり良いアイテムを入手できたと思う。考えれば、この周辺がアップデート前までの最終地点だったから当然といえば当然かな。


 特にバンディットが持っていたペインチャクラムと魔性の円月輪は、両方シーフが装備できる遠距離武器だった。ニャン太郎様から貰ったクインテットも、レアアイテムとしてドロップしたし、奴は非常に優秀な敵だ。次に出会ったら感謝の気持を込めて叩きのめしたいと思う。



 魔性の円月輪 物理攻撃力+100 スチール成功率25%アップ

 ペインチャクラム 物理攻撃力+100 ランダム状態異常付与10%



 そして、こしあんのレベルは【41】になり、スキルもふたつ覚えた。



 罠設置LV1 時限式の罠を設置できる。

 増援LV1 他のパーティに加勢できる。制限時間は五分。



 どちらも使う局面が少なそうなスキルだ。罠を設置して戦うなんて時間効率が悪いし、他のパーティーに加勢しても、こしあんのステータスじゃ嫌がられるだけだろう。


 ちなみに他のパーティーが戦闘している場所は、白い砂ぼこりエフェクトがあるのですぐに分かる。通常は触れても中に入れないけど、スキルを覚えてからは、砂ぼこりエフェクト触れると《加勢する/加勢しない》の選択肢が出るようになった。


「こしあん、お待たせ」

「こんにちは~みたいな」

「沢……クリームと、……誰?」

「エミリだよ! ここではエミリア、みたいな」


 街の入口でこしあんを放置していたら、音声チャットが届いた。沢田さんと桜田さんだ。そういえば連れてくるようなことを話していたっけ。桜田さんはエミリアってキャラネームなのか。


 桜田さんがエミリア、桜田さんエミリア、桜田エミリア……世界遺産の親戚ですかと茶化したいけど、こらえておこう。

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