第10話 痣

 電車のドア横にもたれかかりながら、小さな吐息をひとつ、つく。揺れる車窓の向こうで、黄昏に染まりきった空と家並みが流れていく。その海を漂うように、陽奈は目を閉じる。


 甲斐に黙って遊園地を抜け出てしまった――それは子どもじみた本能的な行動だった。


 いつからだろう。武田甲斐という存在を、自分と同じ立場に置かれた者だと思い込んでいたのは。自分と同じくこの世からの離別を求め、死に様を他者に見せつけ憂さを晴らそうという目的をもっている、ただそれだけで、無意識に安堵していた。仲間意識さえ芽生えはじめていた――認めたくないが、そうでなければ、これほどまでに動揺するだろうか。彼と彼の「父親」との対面を目にしただけで。


 息苦しさを覚え、陽奈はブラウスの胸元を押さえた。どうにもならない感情が渦巻いている。武田甲斐に、裏切られた、と感じているのだ。だが同時に、彼が裏切ったわけでもないということを理解していた。あの「父親」のそばには女性がいた。ベビーカーもあった。いずれも甲斐にとって親しみのなさそうな存在を引き連れた「父親」は、彼にとってすでに父親ではないのだろう。


 だが、それでも、陽奈にはわかってしまった。甲斐を一目見た「父親」の眼には、夜の闇を優しく染めてゆく暁光のような光があった。そんな眼を、陽奈は一度も見たことがない。いや、目にしたことはある。町中で、見知らぬ母親が腕の中の赤子に向ける眼差し。保育所の入り口で我が子を迎える父親の目つき。いずれも、どれほど切望しようと自身には与えられたことのないものだった。


 ――なんだ、いるんだ。そんなひと。


 自分と違って常に母親がいる家だとは知っていたが、自殺を見せつけたいとまで言わせるのだからきっと何かあるのだろう――もしかしたら自分と同じように大きくこじれた関係なのかもしれない――そう、勝手に安堵していた。でも、彼と自分には明確な違いがあった。

 遠くからでも彼を想う、あれほどまでに優しい光がある。


 羨ましいとも、妬ましいとも、今更思わない。ただ、あの場から逃げ出したくなった。それだけは確かだった。


〈上島さん?〉


 さきほどから何度も何度も、断続的に震え続けているスマホを見やる。甲斐が心配して送ってくるチャット画面を、のろのろと開いた。


〈もう、帰ってる〉


 本当は返事などしたくなかった。だが、彼の性格上、きっと陽奈を見つけるまで探し回るだろうと思ったら、無視を貫くこともできなかった。


 ――ごめんなさい。


 遠く薄闇の滲みはじめた空を眺めながら、陽奈は胸の内に呟いた。自分の幼稚な性格に、情けなさを覚えながら。


***


 あれから、甲斐とのチャット画面は静かなままだ。

 一方的に帰り、連絡を絶ってから二日が経った。いや、意図的に連絡を絶ったつもりはなかった。ただ、できなかったのだ。今更、どういう顔で何を送ればいいというのだろう。


 陽奈は居間のソファに横たわったまま、テーブルの上の盆へ右手を伸ばす。デリバリーされた「プシャール」のパンが山をなしているのを、上から崩しているのだ。それが今日の食事だった。


 おいしいものを食べるのは好きだ。甘いものならなおさら嬉しい。だが好きなことと言えばそれくらいで、趣味らしい趣味はない。読書も暇をつぶすためだけになんとなくやっている。それすら怠いときは、スマホでなんとなくダウンロードしたパズルゲームで遊ぶか、ニュースサイトを流し見する。今も、ゲームを遊ぶポイントがなくなったので、仕方なく、さして興味もないニュースをぼうっと眺めている。


『新人女優 長棟里奈、大河ドラマ初挑戦』


 ふいに、太字の見出しが目に飛び込んできた。画面いっぱいに、少女とも見紛うような若くかわいらしい女性が映っている。顔のアップの下に、ドラマ衣装の立ち姿と、他の役者との合わせ風景、そして、メイク中の写真も一枚だけ掲載されていた。

 その一枚に、目が釘付けになった。


 女優の肩付近に映る、白い手。

 メイク道具を握るその手の中指に、紫色に光る特徴的なリングが嵌められていた。そのリングを、陽奈はよく知っている。――つけている本人以外では、おそらく自分が、一番。


『ねえ陽奈、かわいいと思わない? もらっちゃったのよね』


 幼い頃、陽奈は母の仕事をよくわかっていなかった。朝早くから都心に向かうことが多く、泊まり込みのときは小さな陽奈を連れて巨大なビルに入り、誰もいない部屋に陽奈を預けてどこかへ行ってしまう。お絵かきセットや絵本、子ども向けのタブレットなどを渡されていたが、そんなものでは寂しさは満たせなかった。時折、知らない大人が様子を見に来てくれるのだが、母はいつ戻るのかと訊ねても、困った顔で「まだお仕事があるんだよ」と言うだけだった。


 母と陽奈の家には、時折いろんな男の人がやってきて、一緒に食事をした。その夜は必ず泊まっていった。その後おこなわれていたことについて、成長した今ならなんとなくわかる。母には愛人がたくさんいた。その中の一人からもらった指輪を気に入って、今でも大切に嵌めているのだ。


 うわあああああ、と悲鳴を上げてスマホを投げた。スマホは宙に飛び、背中から床に叩きつけられる。


『ほんとにあんたはあたしの邪魔ばっかり』


 床に転がるスマホ画面に、まだ白い手が映っている。その手から声が発せられているようで、陽奈はソファにつっぷして耳を塞いだ。


『あんたは連れて行けないわよ。あたしの邪魔ばっかりして、二度と顔も見たくない』『あたしには夢があったの。あんたの生まれるずーっと前からね。それを拒否するっていうなら、あんたなんか、もういらない』


 紫のキャリーケースが遠ざかる。幼い陽奈は庭に飛び出して、去って行く母の背中を追った。


 ――お母さん。

 ――待って。もう、ひとりにしないで。


 声の限りに叫んでも、母には届かない。家の門前に停められた車は、母を乗せるとすぐに発車してしまった。

 車窓ごしに見える母は、一度もこちらを振り返らなかった。


「いやだ! やめて! やめて!」


 我知らず叫び、拳を頭に叩きつける。鈍い痛みが走り抜け、一時だけ、母の記憶が薄らいだ。だがすぐに甦ってくる。再び精神が蝕まれていく。


「もう、いや! いやああああ!」


 どこを叩けば、もっと痛いだろう。痛みが強ければきっと母のことを考えなくて済むようになるはずだ。腹を殴ると苦い痺れが走る。鼻を殴ると、生温かい感触があふれ出た。でも、まだ足りない。母の拒絶の声が耳から離れない。陽奈は拳を振り上げ、自らの眼を思い切り殴りつけた。


「――っ」


 あまりの痛みに息が止まる。ソファから転がり落ち、眼を覆った。涙があふれてくる。テーブル下のベージュのラグに、赤と透明のしずくがぽたぽたと落ちて染みになった。


 ――ぶぶ。ぶぶ。


 頭のそばに落ちたスマホが震え、ぎくりと身体が強ばった。画面の方へ首をめぐらせると、チャットの通知が浮かび上がっているのが見える。


〈この間は、ごめん〉


 甲斐だ。硬直する陽奈の目の前で、通知がもう一つ、連なった。


〈俺、たぶん、上島さんの気に障ることをしたんだよな。それが何か……憶測でしかないけど、ほんとうに申し訳ないと思ってる〉


 ふいに口角が震えた。なぜかこみ上げる笑いと共に涙がまた流れ落ちる。


〈もしよかったら、お詫びをさせてほしい。と言っても大したことはできないけど……〉


 ――ばかみたい。


 こんな自分のことを、どうしてここまで真剣に考えてくれるのだろう。甲斐の生真面目さが窺えて、おかしさと泣きたい気持ちが同時にあふれてくる。

 ぼんやり画面を眺めていると、また文字が送られてきた。


〈今、家?〉


 まさか、家にまで来るつもりなのか。陽奈は慌てて手を伸ばし、スマホを引き寄せた。息を詰め、必死に画面に指を滑らせる。


〈こなくていい、なにもしないで〉


 慌てるあまり変換さえ忘れている。


〈おねがい、かってにかえったのは、わたしのわがままだから〉

〈わがままなんかじゃないだろ。俺が上島さんを傷つけた。俺、上島さんのことは大事な仲間だと思ってるから、このまま終わらせたくないんだ〉


 どうしてこのひとは、これほどまでに真面目で、頑固なんだろう。


 陽奈はスマホを閉じてのろのろと立ち上がり、洗面所に向かった。鼻血と涙でぐちゃぐちゃの顔を洗い流して、乱れた髪を整える。それから、ゆっくり息を吸って、吐いた。


 改めてスマホを開く。まだチャット画面はそのままだ。陽奈は落ち着いて、文字を打ち込んだ。


〈わかった〉


 鏡を見ると、殴りつけた目元が真っ赤になっていた。水道の冷水を急いで浴びせて冷やす。

 確か、居間のラグに血の染みがついていた。居間には通せない……


 甲斐が来たのはそれから三十分ほど経った頃だった。インターホンが鳴ったので居間の窓から外を覗く。門前に紺色のシャツの肩が見える。そしてその手に、見慣れたパン屋の紙袋が提げられていた。


 ――ほんとに、なんなの。


 また笑いたいような泣きたいような複雑な気持ちになり、黙ってスイッチを押して門を開ける。


「上島さん」


 甲斐は玄関が開くやいなや、がばりと頭を下げた。


「ほんとうに、ごめん」


 ここまで来ると、さすがに呆れてしまう。彼は陽奈がなぜ先に帰ったのか、明確な答えをもっていないはずなのに。


「もう、いいから」


 これでは自分の幼稚さがますます浮き彫りになる気がして、陽奈はつっけんどんに手を突き出した。


「それだけ、くれたらいいから」


 甲斐は一瞬ぽかんとしたようだが、すぐに上体を起こし、ああ、とパンの袋を差し出した。


「いや、これがお詫びっていうんじゃないんだ。これは普通に、上島さんのお気に入りだから――」


 言いかけて、その声が不自然に途切れる。甲斐の眼は、まじまじと陽奈の顔を見つめていた。


「それ、どうしたんだ」

「なに」

「眼だよ。右眼」


 はっと息を呑み、反射的に右眼を押さえる。青ざめ、よろりと後ずさる陽奈を追うように、甲斐も身を乗り出す。


「痣になってる。どうしたんだ、もしかして誰かに殴られたのか?」

「違うっ」


 咄嗟に言葉が強く飛び出した。全身が冷水を浴びたように一気に冷えかえり、そのまま我を忘れて踵を返した。一番手近な居間の方へばたばたと走っていく。

 部屋に飛び込み、奥の壁にかかっていた銀の鏡に飛びついた。


「あ……!」


 鏡にかじりついたまま、愕然とする。右眼の周囲がくっきりと、青黒く変色していた。はじめ見たときは少し赤くなっていた程度だったのに。すぐに冷やしたし、痛みもなかったので油断してしまったのだ。


 後ろで靴下の滑る足音がする。慌てて振り返ったときには、部屋の中に甲斐が踏み入っていた。


「上島さ――」


 甲斐の眼が、陽奈の顔から、手前のテーブルの下に敷かれたラグに移った。上等な白い長毛の生地に、いくつも散らばった赤茶色。瞬間、さっと顔色が変わった。


「まさか」


 もはや声も出ない陽奈の前で、彼は周囲を見渡した。


「だれか、いたのか? ここで君を、殴ったのか?」

「ちがうっ。か、勝手に、入ってこないで」


 無我夢中で壁に背をつける。どうしたらいいのかわからない。

 この痣は、誰にも見られたくなかった。大切な自殺の日を迎える前に大事にされたくなかったし、中途半端な同情を買うのもまっぴらだった。


「あなたには、関係ない。もう、ほうっといて。帰って……」

「そうじゃないなら、他になにがあるんだ。まさか、自分でやったとでも?」


 はっと身じろぎする。沈黙とその反応がなによりも答えを示していた。


 甲斐の眼がみるみる悲痛の色に染まる。拳を握りしめ、「なんでだよ」と唸るように呟く。


「なんで、そんな……遊園地のことが、原因で?」

「ちがう」

「じゃあどうして」

「なんでもない。なんでもないから」


 声を振り絞り、必死に首を振る。


「今日はもう、帰って……お詫びなら、また別の日にもらうから」


 張り詰め、今にも打ち消えてしまいそうな陽奈の声に、甲斐もただならぬものを察したようだった。一瞬迷うように目を落としたが、すぐにぐっと拳を握りなおす。

「帰れるわけないだろ。そんな怪我して……すぐに病院に行った方がいい。とにかく何か冷やすもの……氷とか、ないか? キッチンはどこだ?」

「な、なにを言って」

「いいから教えてくれ! すぐになんとかしないとだめだ」


 矢継ぎ早な甲斐の気迫に、陽奈も拒絶の声がすぐに出なかった。こわごわ、居間の反対側の扉を指す。


「あっちだな。すぐに戻る」


 そう言い置いて、すぐに飛んでいった。

 数分後、甲斐はビニール袋に入れた氷を手に戻ってきた。鏡の下でぺたりと座っている陽奈の傍へ、急いでしゃがみこむ。


「ほら、これを当てて」


 冷たい袋を陽奈の右眼に当てる。陽奈はようやく我に返ったように眼をぱちくりとさせ、おずおずと右手で袋を支えた。


「ちょっと待ってな……目の痣……病院……」


 甲斐はその場でスマホを取り出し、素早く検索をはじめる。病院、という言葉を聞いて、陽奈は反射的に手で制した。


「待って。病院はいいから」

「でも、ひどい痣だ。痛いだろ?」

「痛くない。ほんとに。こんなの、数日で消えるから」


 甲斐の画面をスクロールする指が、ぴたりと止まる。


「まるで、経験したような言い方だな」


 しまった――陽奈は息を呑む。全身が強ばる。ゆっくりと顔を上げた甲斐の、こちらにまっすぐ向けられた瞳の黒に、目が吸い寄せられる。


「間違ってたら申し訳ないけど……前、眼帯してたよな。右眼。それって――」


 その眼差しに苦しげな悲しみの色が満ちていくのに耐えられず、陽奈は「やめて!」と声を叩きつけた。


「同情しないで。そんなの、いらない」

「同情なんかじゃない。いや、そう見えたなら謝るけど、ちがう」


 甲斐の目線が、力なく膝の上に落ちる。


「ただ、悔しくて……」


 悔しい? と声にならない疑問を抱いていると、甲斐は吐き出すように続けた。


「俺、上島さんのこと、何も知らないんだ。それなのに勝手に、仲間だとか言って……確かに、同じ日に一緒に死のうっていう同志ではあるけど、何も知らないくせに、それ以上に近しい気でいた。ばかだよな。恥ずかしい。自分が、情けない……」


 反射的に胸を押さえる。心の中で、何かがぱりんと砕け散るような音がした。彼の言葉に、今更ながら気づかされてしまった。


『何も知らないくせに近しい気でいた』のは、自分も同じだった。派手な死に様を周囲に見せつけたいという意志を持った、この世で唯一の同志。その存在に無意識のうちに喜び、作戦会議まで仰々しく開いて、その日を指折り数えて待ち望んでいた。思えば倉庫で彼に助けられてから、学校でのいじめのストレスが軽くなった。彼が友人たちを引き連れて通りかかってくれるから、クラスメイトたちも容易に手が出せなくなった。その生活にいつのまにか安堵して、心の底で寄りかかってしまっていた……


 だからあの日、自分にはない「優しい親」の存在を目にしたとき、黙って逃げ出したのだ。勝手に裏切られたような気持ちになって。

 いまだに信じがたいことだが――それもこれも全ては、武田甲斐という存在が自分の中で特別な位置に座しているためではなかったか。


「……それは、わたしも同じ」


 するりと出た言葉に自分でも驚いてしまう。だが、甲斐はそれ以上に衝撃的な顔をしていた。


「――え?」


 聞き返されると、改めて自分の発した言葉の意味を自覚して、かっと頬が熱くなる。陽奈は慌てて顔を伏せた。


「もう、いいでしょ。それより、お詫びってなに」


 むりやり話題を変えにかかる。甲斐は複雑な表情をしたまま、しぶしぶと頭を掻いた。


「いや、その……大したお詫びにはならないかもしれないけど……夏祭りに誘うつもりだった」


 予想外の返答に、陽奈は眼をしばたたかせる。


「夏祭り……?」

「海辺に、わたつみ神社があるだろ。今そこで夏祭りをやってるんだよ。たぶん上島さんは行ったことがないんじゃないかって思ったから、案内したくて……それで、屋台とかでごちそうしようかなって」


 行ったこと、あるか? と訊ねられ、陽奈は首を振った。やっぱりな、と甲斐は続ける。


「それなら、もしよかったら……って思ったんだけど、そんな怪我じゃ連れ出せないな。まずは病院だ」

「いや、行く」


 氷袋を外して立ち上がる陽奈に、甲斐も慌てて立ち上がった。


「だめだ。せめて今日一日くらいはおとなしくして、冷やしておけよ。悪化したら……」

「しない。前は、一度も冷やさなかった」

「えっ」

「それでも数日経ったら治ったから。先に玄関で待ってて。着替えてくる」

「おい――」


 甲斐の制止も聞かずに、陽奈は居間を飛び出した。廊下の端の階段を上がり、吹き抜けの二階へ急ぐ。自室に飛び込むとすぐにクローゼットを開けた。遊園地用に買った白いブラウスを取り出す。黒いショートパンツを履き、キャスケットに目をやる。もう夕方なので帽子は必要ないが、近場のお祭りだ、知り合いも来ているかもしれない。おとなしくキャスケットをかぶり、鞄を手に下へ降りていった。


「あの、上島さん、俺はほんとに――」


 戸惑う甲斐の目の前で、陽奈は手のひらを開く。新品の白い眼帯があった。


「心配しすぎ。ほんとうに、大丈夫だから」

「いやでも、そんな痣を見せられたら」

「平気だってば。はい、これでもう見えない」


 眼帯を被せて顔をまっすぐ向けてやると、甲斐もそれ以上言葉が出ないようで、ただ露骨に大きなため息をついた。


「仕方ない……けど、何か異変を感じたらすぐに言えよ」

「うん」

「あと、見るからに悪化していたら、その時点で病院に連れて行くからな」

「もう……」


 鬱陶しげに声を上げて、陽奈は玄関を開ける。

 外はすっかり陽が落ちて、庭のフットライトが煌々と存在を主張していた。

 芝生の間に敷かれた石畳をすたすたと歩いて門の外に出る。スマホで専用アプリにログインして、玄関と門を施錠した。

 それからくるりと振り返る。


「――神社、どっち」

「そこからか……」


 やれやれ、と力なく笑う甲斐。


「案内するよ」   

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