空っぽ

門前払 勝無

第1話

「空っぽ」


 仕事終わってコンビニでおにぎりを2つとお茶を買ったー。


 家に帰りミーちゃんをゲージに入れて近所のおばちゃんに預けた。ミーちゃんのトイレを掃除して無機質な部屋をもう一度掃除機かけた。明日は燃えないゴミの日だから十二時過ぎたら出しに行く…それまではYouTubeとTwitterを見る。Facebookは昨日アンインストールした。顔も見たことのない人達の会話を見ながらおにぎりをを食べた。たくさんリツイートした。少しでも彼等の奴に立ちたかったから、少ないけど僕のTwitterにもフォロワーがいてくれてる。


 十二時が過ぎてゴミを出してきた。

 部屋は家具を持ち出しやすいように部屋の隅に寄せておいた。


 色んな薬局店で買っておいた眠れる薬をお茶で全部飲んだ。

 無機質な部屋の真ん中で寝転がって天井を見つめる。


 自分の変わり果てた姿を想像して、誰が悲しんでくれるのか誰が泣いてくれるのか、それも一時でその人達の記憶からもそのうちいなくなる。今にも消えそうな蝋燭は隙間風で消えそうになる。

 感情は心の海の底へ沈んでいった。

 失うモノはなにも無くて昨日までにやることは全部やり遂げた。


 さっきまで強く打っていた鼓動がゆっくりとなり眉間に入っていた力も抜けている。


 空っぽになっていく自分の死を自分が安心させてくれる。


 誰か一人でも僕を慰めてくれる人が居てくれていたなら…携帯を見る……なにも無い。

 まだ、そんな希望を持っていたんだ…そんな人は居ないよ。


 解ってる…そんな事を思っていたから、こんなに苦しくなったんだろ…もう苦しまなくていいんだよ。


 信じすぎるんだよ…。


 人は自分の都合で生きてるんだから君がいなくなるのなんてどうだっていいのだから…このまま眠ろう。


 人は他人が死んでも明日には忘れてしまう。


 ゆっくりと目を閉じた。


 深く沈んで行くー。


 ゆっくりと暗い深海へと…。


自 End

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空っぽ 門前払 勝無 @kaburemono

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る