一流社長の学生転職 〜人生の成功者、余命告げられ、インキャ時代の学園へ通う〜

田中 ナカタ

第1話 エピローグ とある屋上にて

不穏な風が、1人の少女の髪を揺らした。


風向きは、北から南に吹き、少女の背中を押し出そうとする。


場所は、7階建てアパートの最屋上。彼女は一面に広がる街の光景の前に立っている。


その瞳は虚で、ここではない何処か遠くの空を見つめていようだった。


一歩、二歩と前に出る。そして、高さ1メートルほどの柵の上に立った。


身体がぐらりと揺れる。しかし、少女の表情は崩れない。寧ろ、徐々に身軽ささえ覚えていく。


(あの時、君が手を取ってくれたら、もっと違っていたのかな)


瞳を瞑り、重力に身を委ねる。


次の瞬間、屋上に彼女の姿は消えていた。


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