思い出の中の君をずっと探している

雨空 凪

Satus

「創るために今、ここにいる」


暗い街に楽器の音がむなしく響く。

切れかかった電灯が明滅して、夜の匂いを少し肌寒い風が連れてきた。

聞いてもらうためにいるんじゃない。創るためにここに居る。そう言ったら言い訳みたいに聞こえてしまうだろうか。自嘲的な笑みが思わず漏れてしまう。毎日、自分が何をしたいのかもよくわからないままでいる自分に向けての感情は嘲りでしかない。上手くない歌を歌いながら、拙作の曲を弾く。それの何がいいのだろう。もっとましな職があったはずなのに。そう思ったら馬鹿らしくなって楽器を片付け始める。人の気配のない夜の道に僕の足音だけが響いた。

夜は一層深くなってゆく。

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